2015年10月11日
北朝鮮が大規模軍事パレード、長距離弾道ミサイル公開 米国けん制の挑発レベル抑え、中国との関係復元狙う 演説で「人民」に90回言及、参謀役の実妹が演出家?

 北朝鮮は10日に朝鮮労働党創建70年を迎え、首都・平壌の金日成(キム・イルソン)広場で、金正恩(キム・ジョンウン)政権で最大規模とされる軍事パレードを行いました。
 韓国のケーブル専門局各局がパレードの様子を流す朝鮮中央テレビの中継映像をほぼそのまま放映したので、私も自宅でじっくりと視聴しました。
スポンサードリンク

 金日成広場のひな壇には最高指導者の金正恩第1書記が朝鮮人民軍や朝鮮労働党の高官たちと立ちました。
 中国から祝賀のために派遣された中国共産党序列5位の劉雲山政治局常務委員は金正恩氏の横でパレードを参観し、金正恩氏が笑顔で語りかけるなど和気あいあいとした雰囲気が映像からも感じられました。

 前日の9日に金正恩氏と劉氏が会談したのに続き、世界が注視するパレードの中継映像で2人が笑顔で並び立つ姿が延々と流され、北朝鮮は中朝関係の修復ぶりをアピールすることに成功しましたね。


 新華社の報道では、習近平中国国家主席は劉氏に「中朝の友誼が代を引き継いで互いに伝えていくことを心から望む」とする祝電を持たせたそうです。
 金正恩氏も劉氏との会談で「(北朝鮮が)経済を発展させ、人民生活を改善するためには、平和で安定した外部環境が必要だ」と共感を示しました。


 10日の記念日を前に事実上の長距離弾道ミサイルである長距離ロケットを発射するとの観測が広がっていましたが、結局、これまでのところ発射準備の兆候は捉えられていません。

 これも、中朝関係の復元を狙う北朝鮮が中国に配慮した結果なのでしょうか。


 金正恩氏は軍事パレードを前にした演説の中で「米国が望むどんな戦争にも相手をすることができる」と強調したものの、核兵器核開発に関する直接的な言及はありませんでした。

 韓国メディアによると、軍事パレードでは、米西海岸に到達するとされる移動式大陸間弾道ミサイル(ICBM)のKN08(最大射程1万2千キロ)の改良型が登場したほか、韓国が脅威とみなす新型300ミリロケット放射砲(射程200キロ)も初公開されましたが、北朝鮮が発射実験に成功したと報じた潜水艦発射弾道ミサイル(SLBM)は出てきませんでした。

 テレビに登場した韓国の北朝鮮問題専門家は「金正恩氏の演説での対米批判は原則論を述べただけであり、パレードに登場した兵器の内容から考えて、米国を刺激しないように気を遣っている」と分析。


 私が見ていても、米国批判は約25分続いた演説の中のほんの少しだけであり、直接的な韓国批判もなかったと思います。


 金正恩氏の演説で、最も目を引いたのは「人民」というフレーズが90回以上(韓国メディアの計算)も登場したことでしょう。

 経済と核開発を並行して行うことを宣言している金正恩政権ですが、やはり国内的には人心掌握のためにも「人民重視」をアピールせざるを得ないのは間違いありません。

 専門家の中からは、父親の金正日総書記時代に始まった「先軍政治」で朝鮮人民軍を重視しすぎた体制が続いていたのに対し、これからは朝鮮労働党が中心になって「人民重視」の国家運営を行っていく方針をあらためて示した、との見方も出ています。


 ところで、「金王朝」の正統性を示すために容貌やしゃべり方、現地指導のスタイルなどを祖父の金日成国家主席にわざと似せていると言われる金正恩氏ですが、以前の軍事パレードの際の演説に比べ、「しゃべり方に威厳が出てきた」という指摘も。

 聯合ニュースによると、ひな壇には黄炳誓(ファン・ビョンソ)朝鮮人民軍総政治局長、崔竜海(チェ・リョンヘ)党書記、金己男(キム・ギナム)党書記といった最高幹部たちともに、金正恩氏のの実妹、金与正(キム・ヨジョン)党副部長の姿もあったとか。

 「金正恩氏の特別アドバイザー」というか、陰の参謀役とされ、彼に何でも直言できる唯一の人物と見られている与正氏が、今回の演説の実質的な演出者なのかも知れません。
posted by 永遠の旅行者 at 23:24 | ソウル ☔ | Comment(0) | TrackBack(0) | 金正恩の北朝鮮、愛憎渦巻く韓国 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。

この記事へのトラックバック