2015年08月25日
北朝鮮が地雷事件「遺憾」、韓国は宣伝放送中止 南北高官級協議が合意、朝鮮半島の緊張緩和へ
 南北軍事境界線がある板門店で行われていた韓国と北朝鮮の高官級接触(協議)は、日曜日の午後3時半ごろから、途中で休憩タイム(本国への報告と意見調整)を挟みながらの折衝となっていましたが、聯合ニュースによると25日(火曜日)午前零時55分ごろ、妥結しました。
20150825 南北高官級接触 南北代表 25日未明 ハンギョレ.jpg
(韓国の金寛鎮・大統領国家安保室長と北朝鮮の黄炳誓・朝鮮人民軍総政治局長が25日早朝、合意成立後に握手)
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 韓国では、今回の協議の韓国側代表である金寛鎮(キム・グァンジン)大統領国家安保室長が青瓦台(大統領府)で記者会見を開き、「共同発表文」を発表。

 聯合ニュースが伝えた発表文の内容によると、北朝鮮は地雷事件(北朝鮮が南北非武装地帯の韓国側に埋設した地雷で韓国軍兵士2人が重症を負った事件)について遺憾を表明し、「準戦時状態」を解除する一方、韓国は南北軍事境界線付近で11年ぶりに再開した対北朝鮮宣伝放送を中止することに。


 これによって緊張が高まっていた朝鮮半島情勢はひとまず沈静化しそうですね。

 韓国メディアによると、北朝鮮の国営メディアも合意内容を迅速に報道し、その発表内容は韓国側とほぼ同じで、特段の食い違いは見られないそうです。


 今回の高官級接触は、22日夕方から23日明け方まで10時間近く開かれた「前半戦」と合わせ、計43時間以上という異例のマラソン交渉でした。


 聯合ニュースによると、 南北はこのほか、(1)秋夕(チュソク=中秋節、今年は9月27日)に合わせた離散家族再会の推進(2)南北民間交流の活性化(3)南北関係改善のための当局会談開催−にも合意しました。

 実際、韓国と北朝鮮は高官接触の合意に従い、本日日正午から、韓国は拡声器を使った北朝鮮向け宣伝放送を中止し、北朝鮮は「準戦時状態」を解除したそうです。


 今回の高官級接触は、朴槿恵政権発足後(北朝鮮からすれば金正恩政権発足後、ですが‥)、最も高レベルの南北協議となり、韓国側は金寛鎮室長と洪容杓(ホン・ヨンピョ)統一部長官、北朝鮮側からは黄炳誓(ファン・ビョンソ)朝鮮人民軍総政治局長と金養建(キム・ヤンゴン)朝鮮労働党書記(統一戦線部長)がそれぞれ出席。


 金寛鎮氏と洪容杓氏は役職もそうですが、朴槿恵大統領の再側近。

 黄炳誓氏も金正恩氏の再側近と言える人物。

 しかも「朝鮮人民軍総政治局長」というのは、実質的に北朝鮮の軍組織を支配する地位であり、人民武力部長(国防相に相当)や総参謀長よりも遙かに大きな権力を持ちます。


 ところで、韓国側は、北朝鮮が今回、一連の挑発行為を行った目的について「宣伝放送の中止」にあったと見ています。


 やはり、若い最高指導者・金正恩第1書記としては、韓国軍の宣伝放送(静音な夜間は20キロ以上音声が届くと言われます)にかなり敏感になっていたのは事実。


 ハンギョレ新聞によると、宣伝放送は拡声器を使ったもので、最前方部隊11カ所で1日に8時間ほど行っているとか。

 放送内容は大きく分け、自由民主主義の優越性、韓国発展の姿、民族同質性の回復、北朝鮮社会の実状の4分野で構成され、「北朝鮮社会の実状」では、最近報道された北朝鮮関連ニュースを要約して放送しています。

 最近の放送では、「朴槿恵大統領は就任以来、中国を3回訪問したが、金正恩(呼び捨て)は就任以来、一度も外国を訪問できていない」という内容も含まれているそうです。


 こうした内容も勘案すれば、「金王朝」体制の維持が最も重要な北朝鮮にとって、今回の南北高官級接触の大きな目的が「宣伝放送中止」にあったことも確かでしょう。


 しかし、北朝鮮が今回、地雷事件、砲撃、「準戦時状態」入り、と緻密な計画の元に軍事的な行動を進めてきたことも間違いないのではないでしょうか。

 そもそも北朝鮮が地雷事件を起こしたことが韓国軍による「宣伝放送再開」につながったわけですから、その宣伝放送の中止が「すべての目的だった」というのは、今ひとつしっくりこない話ですね。


 「地雷事件」を起こした本来の目的がなんだったのか、北朝鮮の動きをもう少し注視する必要がありそうです。


 米韓両軍は、現在行われている定例合同軍事演習「乙支フリーダムガーディアン」(UFG)と「統合火力撃滅訓練」については、計画通り続ける方針。(28日に終了予定)
posted by 永遠の旅行者 at 01:48 | ソウル ☁ | Comment(0) | TrackBack(0) | 金正恩の北朝鮮、愛憎渦巻く韓国 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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