2015年08月22日
韓国と北朝鮮が本日午後6時に板門店で高官級協議 南北とも首脳側近、硬軟両様戦術の北朝鮮

 北朝鮮による韓国砲撃などをめぐり朝鮮半島の緊張が極度に高まっている中、南北双方の高官が本日午後6時に、南北軍事境界線がある板門店の韓国側施設「平和の家」で「接触」(南北対話に関する用語で「接触」ですが、要はテーブルを挟んで南北代表が座って話し合いをする「協議」)を行うことになりました。
 韓国青瓦台(大統領府)の金奎顕(キム・ギュヒョン)国家安保室第1次長が記者会見で発表したそうです。


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 北朝鮮は、韓国が対北朝鮮宣伝放送を中止しない場合、本日午後5時(北朝鮮の平壌時間で同5時半)に「準戦時状態」に入ると宣言していましたが、とりあえず、この問題を含め、南北間で対話を行うわけですね。


 ただ、「これで危機的状況は回避された」と喜ぶのは禁物。

 北朝鮮は南北関係の主導権を握るため、韓国に対する武力挑発と南北対話を並行して行うのが昔からの常套手段だからです。


 対話局面だからといっても、「北が態度を軟化させた」と考えると、とんでもないしっぺ返しを食らうことも多いのです。

 言わば、「脅し」と「すかし」を交互に、または同時に繰り出しながら、自分たちの要求を相手に飲ませようとする戦術ですが、過去の事例を見ても、同じパターンの攻勢に対し、韓国は意外にハマっています。


 今回は特に、レイムダック(死に体)化が著しい朴槿恵政権が北朝鮮の強硬対応に右往左往している様子。

 韓国軍にしても、北朝鮮の地雷爆発事件(韓国軍兵士が負傷)に対する「報復」措置として、勢いよく対北朝鮮宣伝放送を再開したものの、北朝鮮から予想を上回る「反撃」を受け「対応に困っている」、というのが実態でしょう。

 朴槿恵政権は、表向きは「断固対応」と強い姿勢を国民にアピールしつつも、内心では「延坪島砲撃のような事態になれば、どうしようか」と不安にさいなまれているのは確実。


 そこに、北朝鮮から「対話」の誘いかけがあり、「これで助かった」とホットして応じているのが現状ではないでしょうか。


 しかし、北朝鮮側はこうした韓国の胸の内を手に取るように読んでいるはず。

 高官級接触では「是が非でも北に武力挑発をとどめさせたい」と焦る韓国に対し、北朝鮮側は接触の場でも脅しすかしを織り交ぜた攻勢をかけ、韓国に「宣伝放送中止」を飲ませようとするのではないでしょうか。


 そして、おそらく韓国から譲歩を引き出すためのエサは、南北の高官級会談。
 本日のような緊急の「接触(協議)」ではなく、正式な会談です。

 内政混乱と外交の行き詰まりで土壇場に立たされている朴槿恵政権にとっては、南北関係進展につながる高官級対話は喉から手が出るほど欲しいものでしょう。


 ただし、会談の議題については、北朝鮮が望んでいる韓国の「5・24措置」(2010年3月に起きた韓国哨戒艦撃沈事件を受けた対北朝鮮制裁)の解除問題を入れるよう要求してくるのでは?


 金正恩氏としては、制裁解除に向けた会談に韓国が応じれば、自らの大きな成果となりますね。

 この場合、武力挑発については、「脅しただけで韓国が屈した」という理由を付け、中断するでしょう。


 会談を経て制裁解除にこぎ着ければ、中国との関係も悪化している北朝鮮にとって、外貨収益や食糧支援の増大につながる大きな「実利」。

 一方で、朴槿恵政権が引き続き解除に応じなければ、再び因縁をつけて武力挑発で脅せばよいからです。


 中国が9月3日に予定する抗日戦争勝利記念行事を前に、朝鮮半島情勢が緊迫するのを避けたい習近平政権も、朴槿恵政権に対し「北朝鮮に少し譲歩しろ」と圧力をかける可能性もあります。

 北朝鮮の狙いが最初から「5・24措置を協議する会談実現」であれば、上記のように予想される中国の圧力も計算に入れた上での挑発だったのかも知れません。


 事態は流動的で、先行きは不透明ですが、少し緊張が緩和されてきた印象ですね。


 ところで、最初に触れた本日の南北高官級接触ですが、出席する高官は、韓国側が金寛鎮(キム・グァンジン)大統領国家安保室長(閣僚級)と洪容杓(ホン・ヨンピョ)統一部長官、北朝鮮側が黄炳誓(ファン・ビョンソ)朝鮮人民軍総政治局長と金養建(キム・ヤンゴン)朝鮮労働党書記(統一戦線部長)。

 金奎顕次長の説明では、北朝鮮は昨日午後4時ごろ、金養建書記名義の通知文を通じ、金寛鎮室長との接触を提案。
 これに対し韓国側は同午後6時ごろ、金寛鎮室長名義で、金養建書記ではなく、黄炳誓氏の出席を求める通知文を送ったそうです。
 韓国側の提案に対し、北朝鮮は22日午前9時半ごろ、黄炳誓氏と金養建氏が出席するとし、韓国に金寛鎮氏、洪容杓氏の出席を求めたとか。
 韓国はこれを受け入れ、同日午後6時に板門店での接触を提案し、北朝鮮がこれに応じたそうです。


 南北の細かいやり取りをすべて公開するのは、少し異例のことのように思えますが、朴槿恵政権の素人交渉の結果なのか、それとも「あえて公表」することで国民の不安を鎮める効果を狙ったのか、現時点では、この辺もよく分かりませんね。


posted by 永遠の旅行者 at 17:17 | ソウル ☁ | Comment(0) | TrackBack(0) | 金正恩の北朝鮮、愛憎渦巻く韓国 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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