2015年06月26日
朴槿恵大統領、経済再生法案塩漬けの国会に不満爆発 野党は無論、元側近の与党院内代表に「背信政治」批判も MERS不手際でボロボロの政権に局面転換
 朴槿恵大統領が昨日の閣議で、与野党が政府施行令に対する国会の修正権限を強化した国会法改正案に対し、拒否権を行使しました。

 朴槿恵氏が国会で可決された法案に拒否権を行使するのは初めてで、国内政治の観点からは、これだけでも大ニュースなのですが、今回、彼女が政権発足以来の与野党の国会運営をめぐり、募りに募った不満を思いっきり爆発させました。

 「国会に宣戦布告した」(左派のハンギョレ新聞)と評されるほどの激しい剣幕に、韓国政界は右往左往し、大混乱に陥っています。
20150625 閣議の朴槿恵 青瓦台.jpg
(閣議で発言する朴槿恵大統領=25日 青瓦台HPより)


スポンサードリンク

 内政、外交の全部について「無能」(韓国メディア)の批判を受け、土壇場に追い込まれていた朴槿恵氏ですが、今回の「拒否権行使」の過程で「国民の声を無視して党利党略に走る政治家」という分かりやすい攻撃対象を設定し、「国民のために闘う頑固一徹な大統領、朴槿恵」を強くアピール、一気に局面転換を狙いました。

 そして、その思惑通り、当面の政局の主導権を再び握ることに一定程度成功したと言えるのではないでしょうか。


 「反日」外交でこれ以上、「安っぽい拍手」を得るのは相当難しくなっていますが、今回、日韓関係改善に乗り出すと同時に、代わりに血祭りに上げるターゲットを電撃的に設定したとも受け取れますね。

 過去もそうですが、国内政治において、一見、困難に見える状況の中、強引な正面突破を通じて世論の流れを引き寄せ、「危機をチャンスに変える」という彼女の「突破力」は、結構すごいものです。


 実際、朴槿恵政権が経済再生や不況対策を打ち出して法案化しても、国会で野党の協力が得られず、法案通過は牛の歩み状態。
 数年間、店ざらしの法案もあります。

 このため朴槿恵氏は、機会があるごとに「経済再生や若者の雇用対策が最も重要なのに、国会(で主に野党)が足を引っ張っている」と繰り返し批判してきました。


 ただ、いくら与党「セヌリ党」が国会の過半数を占めていても、最大野党「新政治民主連合」の協力なしには法案を通過させることが難しくなったのは、朴槿恵氏がセヌリ党の非常対策委員長(当時、党代表の突然の辞任を受け就任した臨時の代表職)時代に、政治改革の目玉として自ら主導した「国会先進化法」が原因というのが大方の見方。

 結局、国民受けするポピュリスト的な政策を推進した結果、自分で自分の首を絞めているわけです。


 昨日の閣議に話を戻しますが、韓国メディアによると、朴槿恵氏は「政府を圧迫するために急いで与野党が(国会法改正案に)合意した」とし、「(政府の施行令などに対する与野党の修正要請権を盛り込んだ)国会法改正案は、政府の立法権と司法府の審査権を侵害し、結果的には憲法が規定する三権分立の原則を損なわせる違憲の素地が大きい」として拒否権を行使しました。

 さらに「国会が、本当に必要な法案は党利党略で足止めしておきながら、自分たちが追求する党略的なことでビッグディールをして通過させる、というナンセンスなことが起きている」「与党の院内指令塔(要は、院内代表)も政府・与党の経済再生にどれだけ国会の協調を求めたのか疑問」としながら、「政治は国民の代弁者であり、自らの政治哲学と政治的論理に利用してはいけない」と強調しました。

 大統領が公の席で与党の院内代表を直接的に批判するのは極めて異例であり、事実上、劉承旼(ユ・スンミン)院内代表の辞任を要求したものと言えます。


 朴槿恵氏は「政治的に選挙を手段として当選した後に信頼を破るような背信の政治は、結局、覇権主義と派閥づくりの政治を量産する」とした上で、「必ず選挙で国民に審判してもらわなければならない」と言明。

 これは、野党とともに、政権のやることに批判的な劉承旼氏らを標的にし、選挙で落選させるよう国民に働きかけたとも受け取れるため、韓国内では「公務員が特定人物や勢力を支援(その逆も)することを禁止した選挙法に違反するのではないか」という指摘も出ています。


 様々な論争を呼んでいる朴槿恵氏の発言は、激高したような強い口調で16分も続き、発言原稿は大統領が一言一句を厳しくチェックしながら作成されたという見方が支配的。


 セヌリ党では「親朴槿恵」派議員から「劉院内代表の辞任」を求める声が強まっているものの、当人は「もっとしっかりやれ、という趣旨の発言」という見解を表明、残留する構えです。

 最終的に去就がどうなるかは不透明ですが、彼を筆頭とする「非朴槿恵」派勢力を圧迫し、手足を縛るには十分なショックを与え、朴槿恵氏が自派を通じて党内をコントロールし易くなりましたね。


 一方、最大野党「新政治民主連合」の文在寅(ムン・ジェイン)代表は、拒否権行使に関連し「国会立法権に対する深刻な侵害であり、議会民主主義に対する威嚇」とし、「きっぱりと対抗していく」と言明。
 同党は、当面、すべての国会日程を拒否するとか。

 
 MERS対応の不手際でボロボロの朴槿恵政権ですが、経済再生を阻む「汝矣島政治(日本でいう永田町政治)」という「国民の敵」を設定することに成功。

 政界関係者の間では、今回の問題設定により「不況克服を最重要視する国民からの声を政権の追い風にすることができる」という見方がある反面、「国政運営には結局、国会の協力が不可欠。今回の発言で国会との信頼関係が壊れたため、長期的には政策推進力に障害が出る」という指摘も目立ちます。


 いずれにしても、ここで大統領の意に反した与野党の要求を押し戻せなければ、レームダック化が一気に進む恐れがあるため、朴槿恵氏としても「一か八かの賭に出た」ということは間違いありません。


 ところで古い話をすれば、劉承旼氏は本来、セヌリ党代表の金武星(キム・ムソン)氏とともに、「親朴槿恵」派の中心的人物でした。
 2005年に新人議員だった劉承旼氏は、当時の朴槿恵ハンナラ党(現セヌリ党)代表から「三顧の礼」(韓国メディア)を受けて腹心に迎え入れられ、党代表の秘書室長に就任。

 彼は朴槿恵氏にも遠慮なく「耳にしたくない厳しい声」を伝える役割を果たし、朴槿恵氏も信頼を置いていたようです。


 しかし、2012年初め、槿恵氏がハンナラ党の非常対策委員長に就任した後、党名変更(「セヌリ党」に変更)方針を打ち出したことに反対するなど、次第に2人の距離が広がっていく雰囲気が漂い始めました。

 生来の自己主張の強さも手伝ってか、翌年、朴槿恵政権が発足した後も、大統領報道官の人事や、朴槿恵氏の側近秘書官の専横を露骨に批判。

 既に「非朴槿恵」派と見なされる中、今年2月に院内代表に就任してからは、大統領選挙公約である「増税のない福祉」をめぐる論争では青瓦台(大統領府)と路線を異にし、在韓米軍への終末高高度ミサイル防衛(THAAD)配備に慎重な政府を強く非難してきました。


 朴槿恵氏は、父親の朴正煕元大統領暗殺後、側近たちが手のひらを返したように離れていった体験がトラウマになっているためか、「裏切り」や「背信行為」を何よりも嫌悪し、決して容赦はしない性格です。

 前述した現セヌリ党代表の金武星(キム・ムソン)氏にしても、「親朴槿恵」派のリーダーでしたが、朴槿恵氏は自らと対立していた李明博大統領(当時)に彼が協力したことから完全に袂を分かち、今でも「裏切り者」と見なし許していません。

 劉承旼氏についても、スタンドプレー的な体制批判が朴槿恵氏の我慢の限界を超え、彼女の頭の中では「背信行為」と認識されているのでしょう。


 東亜日報によると、朴槿恵氏が今回の発言の中で、彼について「政府・与党の経済再生政策に、どんな国会の協調を引き出したのか」と追求した部分は、十年にわたる2人の愛憎関係が悲劇に突き進んでいることを暗示している、という受け止めが多いそうです。

朴槿恵の挑戦 ムクゲの花が咲くとき

朴槿恵の挑戦 ムクゲの花が咲くとき
価格:1,620円(税込、送料別)









posted by 永遠の旅行者 at 21:00 | ソウル ☁ | Comment(0) | TrackBack(0) | 韓国政治 反日の朴槿恵政権 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。

この記事へのトラックバック
×

この広告は180日以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。