2015年06月21日
北朝鮮、ミサイル発射訓練の一方で南北対話呼びかけ 苦境の朴槿恵政権、慎重ながらも関係改善へ注目

 北朝鮮がミサイル発射訓練などを行う一方で、韓国政府に対話を呼びかけてきましたね。

 南北共同宣言発表から15年を迎えた今月15日、北朝鮮は「朝鮮民主主義人民共和国政府声明」を出し、南北間に信頼と和解のムードが醸成されれば、当局間対話と交渉を開催できない理由はないと表明した。


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 武力で脅しながら、同時に対話を呼びかけたり、対話を行っている最中に軍事的な脅し仕掛けるのは、金正恩第1書記の父親である金正日総書記時代から北朝鮮の常套手段です。

 まあ、「数学の公式と同じ」と言ってもいいかも知れません。


 韓国を軍事的に圧迫すれば、韓国内の親北朝鮮勢力から「韓国政府が強硬姿勢を続けるから、北が危険な行動をする」とか、「北の暴発を防ぐためにも、南北対話が必要だ」という声が上がり、国民のかなりの割合もこうした意見に同調する傾向があるからです。

 もちろん韓国民の多くは、北朝鮮が核・ミサイル開発を全力で進めていることや、韓国侵攻を想定した前線の軍事基地強化と新兵器開発に脅威を感じていますが、朴槿恵政権があまりに強硬一辺倒で南北対話を難しくしている様に見える現状にも不安を抱いています。


 一方、韓国で2008年2月に10年ぶりとなる保守政権(前の李明博政権)が誕生して以降、日米韓による包囲網強化に苦しむ北朝鮮は、貿易などの中国依存度を高めることでしのいできましたが、金正恩第1書記の時代になって中国との関係も冷え込み、ロシアに接近を試みているものの、思うほどの成果は上げていないのが実態。

 そこで「日米韓」のうち、もっとも弱い韓国を硬軟両面から揺さぶり、自分たちの要求を聞かせるように持って行くことを考えているはずです。


 もちろん、中国や日本を取り込む工作も並行して行っているのは確実ですが、当面、韓国引き込みに最も力を入れる可能性もありますね。


 それがダメなら、また拉致問題をエサにして、日本に再接近して来るのかも知れませんが‥。


 習近平政権にしても、日米韓を離間させる上で朴槿恵政権を最大限に利用してきたものの、韓国が今以上の「離米従中」に躊躇すれば、再び北朝鮮との関係改善を図る可能性があります。

 中国は過去と違い、もはや北朝鮮に対し、朝鮮戦争を共に戦った「血盟」という特別な関係を無条件に最重要視する価値を見いだしていないようですが、かといって自らの影響圏内にある「北朝鮮」地域を放棄するつもりもありません。

 習近平国家主席にしても、情勢次第で「金正恩氏の訪中招請カード」を使い、いつでも中朝関係を動かすことを選択肢として持っているはずです。


 実際、中朝関係が悪化したとは言え、金正日総書記時代と同様、石油や食糧の支援は継続して行っている模様で、現在は言うことを聞かない北朝鮮に「お灸を据えている」という状況であり、大きな影響力を残しているのも事実。


 話が少し逸れましたが、北朝鮮の対韓国政策は、伝統的に「圧力と対話」です。

 「圧力と対話」というと、日本人拉致問題解決を目指す日本政府が対北朝鮮政策の原則として掲げる決まり文句(日本の方は「対話と圧力」ですが)と同じような感じですが、これは北朝鮮が韓国を扱う際の基本原則でもあります。


 そして時には、「圧力」が2010年に起きた韓国哨戒艦撃沈や韓国・延坪島砲撃のように直接的な軍事攻撃につながることもあれば、北朝鮮領域内での軍事訓練や、国営メディアを通じ核・ミサイル開発強化などを宣言する「言葉による脅し」にとどまることも。

 圧力の後には、よく対話攻勢をかけてきたりもします。

 また、対北朝鮮包容政策を取った金大中政権時代の2002年6月に黄海で起きた南北艦艇銃撃戦のように、南北間で良好な対話が継続中にもかかわらず、突然、事件を起こすことも珍しくはありません。


 いずれにせよ、北朝鮮には、こうした「圧力」によって韓国政府と韓国民を揺さぶる狙いがあり、南北対話の価値を高めるとともに、対話局面で韓国政府により大きな譲歩を迫ることができると考えているのです。

 過去の南北関係をひもとけば、こうした戦術が大きな効果を発揮することがあるので、結局、何十年もの間、ずっと繰り返しているのも間違いありません。


 現在、内政、外交ともに失敗だらけの朴槿恵大統領にとって、北朝鮮との関係改善を図り、金正恩氏と南北首脳会談を開くことができれば「一発逆転」を国民にアピールできるため、対話の誘いは内心、「願ってもないチャンス」と思っているはず。

 金正恩氏もその辺を読んで、「今なら韓国の譲歩を引き出せる可能性がある」と判断して、誘いをかけてきたのかも知れません。


 韓国は2010年の哨戒艦撃沈後、北朝鮮に対し、開城工業団地運営を除く南北協力・交流を事実上中断する制裁措置を取っており、北朝鮮としてはこれを解除させるのが大きな課題。

 韓国内でも、制裁緩和に理解を示す声が少なくなく、朴槿恵政権が苦境に陥っているタイミングを狙って、北朝鮮が攻勢をかけてくる可能性は十分にあります。


 さらに北朝鮮は今年、「百年に一度の干ばつ」に見舞われており、海外からの大規模食糧支援が必要になるのは確実なため、今から支援を確保するための布石を打ってきたのかも。

 過去にも、南北関係が緊張局面にあった時、水害などの自然災害に対する支援をきっかけに、対話局面に転換していったケースが目を惹きます。


 今回、北朝鮮の対話呼びかけを受け、韓国統一部の洪容杓(ホン・ヨンピョ)長官は今月17日、「一歩前進した」と評価しながらも、「依然として様々な前提条件を付けていることは残念だ」と表明。

 一応、慎重な姿勢を崩していませんが、朴槿恵政権は最近になって、民間団体による北朝鮮への食糧支援を許可したり、北朝鮮も拘束していた韓国人2人を特別な条件なしに韓国側に引き渡すなど、関係改善へのサインとも受け取れる動きを見せています。


 まあ、朴槿恵大統領は支持層の保守派を意識してか、時折、以下のような刺激的な発言をしますが、今回の干ばつをめぐる南北の動きに注目ですね。



posted by 永遠の旅行者 at 18:57 | ソウル ☀ | Comment(0) | TrackBack(0) | 金正恩の北朝鮮、愛憎渦巻く韓国 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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