
目的は、言わずと知れたた「明治日本の産業革命遺産」の世界文化遺産登録の可否を決める来月の世界遺産委員会に向けた事前工作。
尹炳世氏は外交官出身で、朴槿恵政権の「反日」外交を主導している人物です。
安倍首相の訪米をめぐっては、首相の米議会演説を阻止する工作活動(途中から「阻止」困難と分かると、演説で「慰安婦」問題などの謝罪を表明するよう要求)に全力を注ぎましたが、結局、米国内で「韓国疲労症」を広めるだけの空回りに終わり、韓国メディアから「外交失敗」と強い批判を浴びています。
とにかく、朴槿恵大統領の韓国民に対するメンツのためにも、尹炳世氏自身の保身のためにも、何とか対日「歴史戦争」で逆転を図る必要がありますから、今回も必死なのでしょう。
ただ、聯合ニュースは、今回候補となっている遺産に朝鮮半島出身者の強制労働という「歴史的事実が反映されるよう」に外交部長官が直接、委員国に協力を要請する見通しだ、と報じていますね。
これを素直に読むと、遺産の説明板などに「強制労働」があったことが明記されれば「OK」という風にも受け取れます。
結局、「登録阻止は難しい」、あるいは「登録阻止が実現した場合、日本国民の感情に余りに大きな禍根を残す」という点を考慮し、「韓国外交勝利」の基準となるハードルをウヤムヤのウチに引き下げた感じです。
もともと尹炳世氏自身が当初、「登録阻止」を目指す考えを派手に打ち上げていたのですが、今回の記事でも明らかにトーンが落ちてきました。
結局は「遺産の説明に強制労働の記述を入れる」という線なら委員国を説得しやすいし、これが実現すれば、朴槿恵大統領と韓国民に対し「外交部の面目が立つ」ということでしょうか。
要は「ホームラン」は難しいし、リスクも大きいので、「二塁打」程度を目指し、最悪「バントヒット」でも
我慢する、という戦略。
「強制労働」と、朝鮮半島の「植民地支配の悲劇」などを詳細に入れさせることができれば「二塁打」になるし、最悪でも「強制労働」の説明は盛り込ませたいはずですから。
世界遺産委員会まで1カ月を切り、韓国は今を、この問題をめぐる「外交戦争」の山場と捉えているから、外交部長官を派遣し、説得工作をグリグリやることにしたのは間違いありません。
韓国は、外交部長官に続き、国会議員や学者、市民団体など官民を挙げた総力戦をぎりぎりまで展開するものと見られ、日本としては油断できません。
安倍首相の米議会演説阻止を狙い米国の政官学界に工作活動を行ったのと、基本的に同じ戦術ですが、この手のごり押し説得は韓国の得意技ですから。