2015年06月11日
干ばつで北朝鮮の食糧生産量20%減になる恐れ 韓国政府資料、北朝鮮メディアも深刻さ報道

 韓国で北朝鮮問題を担当する統一部(省に相当)は9日、「北韓(北朝鮮)の干ばつ被害評価と食糧生産見通し」と題した資料を通じ、長引く干ばつに見舞われている北朝鮮で、来月初めまで降水量不足の状態が続く場合、食糧生産量は昨年より15〜20%減少するとの見通しを示した、と聯合ニュースが報じました。
(注釈=AFPの報道はちょっと誤解があるようです)


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 北朝鮮の国営「朝鮮中央通信」も今月3日に、同国が昨年に続き、今年も全国的な干ばつに見舞われていると報じていました。

 水不足で農作物や田植えに影響が出ているそうで、今年1〜5月の全国の降水量は平年の74%、中でも3月の降水量は3分の1以下で、観測史上2番目の少なさだとか。


 まあ、韓国も春以降、ソウルなどでは雨がほとんど降らない状態であり、江原道では干ばつが深刻なので、北朝鮮の報道もあながちウソとは言えないでしょう。

 もっとも、前もって少々誇張した数字を出しておいて、秋以降に国連機関や関係国に食糧支援を要請する「布石」にする狙いがあるのかもしれませんが‥。


 最初の韓国統一部の資料に話を戻しますが、聯合ニュースによると、同部は、降水量不足が今月上旬(10日)まで続くと、食糧生産量は5〜10%減少するため、北朝鮮当局が代替作物としてトウモロコシの生産に全力挙げると分析。

 さらに同部は、来月5日まで降水量不足が続く場合、例年に比べジャガイモとコメの生産量が急減し、北朝鮮の食糧生産量が15〜20%減少すると予想しました。
 ここまで深刻化すると、先月10日以前に種まきしたトウモロコシの生産量も相当減少すると予想されるそうです。

 北朝鮮の昨年の降水量は平年(1981〜2010年の平均)の61%に過ぎず、田植え時期である今年5月の降水量も平年の56.7%にとどまりました。
 穀倉地帯である黄海道地域と平安道地域の場合、5月の降水量が平年に比べ、それぞれ46.9%と61%という水準とか。


 北朝鮮の昨年のコメ生産量は216万トンで、前年比6万トン増だったものの、トウモロコシとジャガイモの生産量は172万トンと54万トンで、それぞれ4万トンと2万トンの減少。
 このため食糧生産量の合計は480万トンとなり、干ばつにもかかわらず、前年比1万トン減でした。


 しかし、今年は肥料不足まで加わり、状況はさらに悪化する見通しのようです。
 
 聯合ニュースによると、来月初めまで干ばつが続き、食糧生産が20%減まで進むと、今年の食糧生産量の合計は384万トンまで落ち込むことに。
 これは北朝鮮で餓死者が続出した1990年代半ばの「苦難の行軍」の時期以降で最低の量に当たります。

 韓国農業振興庁によると、北朝鮮の食糧生産量は1995年の413万トンから、1996年に345万トン、1997年に369万トンに落ち込んでいましたが、2000年に422万ントンに回復。
 その後は2002年の395万トンを除けば、毎年400万トン以上を維持していたそうです。


 こうして見ると、「国際社会がもっと支援すべきだ」と思うかも知れませんが、北朝鮮の伝統的友好国である中国からの支援もあれば、北朝鮮政府が国際市場から調達できる食糧もあるはずです。

 あと、状況が良くなければ朝鮮人民軍が備蓄している軍用米を民間に放出することもでき、北朝鮮政府に残された政策手段もそれなりにあります。


 「北朝鮮の民衆が餓死するかも」と印象づける数字が相次いで報じられるのと同じタイミングで、国連機関である「世界食糧計画(WFP)」のデービッド・カートルード・アジア地域本部長が訪韓し、韓国政府と協議を行っています。

 カートルード本部長は10日、聯合ニュースのインタビューに対し、農繁期の北朝鮮で干ばつが続いており、食糧需給に対する懸念が強まっているとし、食糧供給の推移を見守り、深刻化すれば食糧提供を増やすこともあり得ると説明したそうです。


 つまり、北朝鮮の干ばつが深刻な事は確かですが、そこに存在意義を見いだしている国連機関があり、各国に資金拠出を求めるのに都合の良いデータが絶好のタイミングで出てきました。

 偶然にしては、結構出来すぎではないでしょうか。


 韓国政府にしても、表向きは北朝鮮に対する強硬姿勢を堅持しているものの、内政と外交の相次ぐ「失敗」で苦境に立っている朴槿恵政権としては、食糧支援などを取っかかりに南北関係改善を図りたいという思惑が常にあるのは間違いありません。

 朴槿恵大統領は、おそらく可能であれば金正恩第1書記との南北首脳会談を開き、政治的に「一発逆転」を図りたくて、内心、うずうずしているのが実情、と思われます。

 もっとも、「核問題」の進展なしには、米国のオバマ政権から「OK」が出ないから、現実的には当面、ハードルが高いでしょうが‥。


 いずれにしても、北朝鮮の干ばつ問題は今後も注意が必要ですね。


posted by 永遠の旅行者 at 01:11 | ソウル | Comment(0) | TrackBack(0) | 金正恩の北朝鮮、愛憎渦巻く韓国 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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