2015年06月08日
MERS対策陣頭指揮で朴元淳ソウル市長が強力なリーダーシップ発揮 次期大統領選の野党候補トップに躍り出るか
 中東呼吸器症候群(MERS)コロナウイルスをめぐる朴槿恵政権の対応遅れに批判が噴出する中、革新系の朴元淳(パク・ウォンスン)ソウル市長が「MERSとの戦争」を宣言した上、「(例え批判を浴びても)市民の安全を守るためには、過度だと思われるくらいの対応が必要だ」として、感染拡大阻止に向けた陣頭指揮を取り、注目されています。

(ソウル市長の6日の記者会見)


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 この前も紹介したように、まず4日深夜から緊急会見を開き、韓国で35人目のMERS感染者と確認された医師が、症状が出始めた後も(医師本人は持病のアレルギー性鼻炎の症状だ、と主張)1500人以上のソウル市民と直接、間接的に接触していたと発表。
 朴槿恵政権や保守系メディアは「混乱を拡大する」と批判しましたが、世論調査では国民の過半数が市長を支持しています。

 翌日にはソウル市幹部や区長ら関係者を一堂に集めた緊急会議を開き、行政が一丸となって感染拡大に努める姿勢を強調。
 6日には再び記者会見を開き、この感染医師が勤務しているサムスン・ソウル病院について「これまで保健当局の防疫対策の死角地帯になっていた」とし、ソウル市内での感染拡大の「核心病院であり、唯一の病院だ」として、市がこれ以上の感染拡大防止のため直接的な管理監督に乗り出す方針を表明しました。

 病院側が協力を拒む場合、「閉鎖」命令を出す権限があるとまで言及し、断固とした姿勢をアピール。

 会見ではさらに、政府が病院名を隠していることが「疑惑を大きくした」として、あらためて迅速な病院名の公表を政府に要請。
 MERS感染が疑われる人の確認作業に「あまりにも時間がかかっている」と保健福祉部の対応を批判した上で、感染を認定する権限をソウル市保健環境研究院にも与えるよう政府に要求しました。


 市長の発言は、またまた保守系メディアから猛攻撃を受けましたが、結局、政府側がこうした要求をほぼそのまま受け入れ、7日には保健福祉部長官が朴元淳ソウル市長、南景弼(ナム・ギョンピル)京畿道知事、権善宅(クォン・ソンテク)大田市長、安熙正(アン・ヒジョン)忠清南道知事と会談して、政府と関係自治体が一体となって対応に当たることで合意し、そろって記者会見、国民にも協力を訴えました。

 「次期大統領選出馬をにらんだ政治的なパフォーマンス」と朴元淳市長を批判していた保守系メディアも、結局は市長の行動がきっかけとなり、MERS感染拡大対策が進展したことから、やや自嘲気味に、皮肉も交えて「ソウル市長がまるで大統領のように行動している」(東亜日報系のケーブル専門局「チャンネルA」)と評しています。


保守大手紙の中央日報も社説で、朴元淳市長の深夜の緊急発表に問題がなかったわけではないものの、「大統領府や与党セヌリ党に市長を批判する資格はない」と、対応が後手後手に回った政府を批判。
 その上で、朴元淳市長の行動について「地方自治体が立ち上がって積極的に(感染の疑いがある市民を)管理するということであり、正しいと考える」「感染の可能性が低いといっても、やり過ぎだと思うほど果敢な方式で芽を摘み取ってこそ、拡散を防ぐことができるからだ」と賞賛しました。


 このまま行くと、朴元淳市長がMERS対応で見せたリーダーシップが決め手となって、野党勢力の2017年大統領選候補としてトップに躍り出る可能性が高まったと思われますね。


 ちなみに今年春までは次期大統領にふさわしい人物を問う各種世論調査で、トップは最大野党「新政治国民連合」の文在寅(ムン・ジェイン)代表、次いで与党セヌリ党の金武星(キム・ムソン)代表となり、朴元淳(パク・ウォンスン)ソウル市長は3番手でした。

 ただ、突出した支持を集める政治家はいません。
 多くの韓国民が尊敬する潘基文(バン・キムン)国連事務総長であれば、与野党のどちらから出馬しても「当選確実」と言われているものの、そうでなければ「混戦模様」というのが実態。

 トップだった文在寅氏にしても、最近は支持率がジリビン状態で、5月に入ってからは金武星氏が1位に浮上しました。
 その金武星氏も公務員年金改革をめぐり国民の反発を買っている上、固定支持層がないため先行きは不安定と見られています。


 一方の朴元淳市長はもともと市民運動家であり、韓国の代表な市民団体「参与連帯」の創設に関与し、役員を務めたほか、政策シンクタンク「希望製作所」理事を歴任した人物。

 単なる理想主義者ではなく、なかなかのリアリストで、ソウル市長として安定した行政手腕を発揮し、中道層の支持も集めています。
 野党統一候補となり、中道層を引き寄せることに成功すれば、大統領選で十分な勝算があります。

 次の世論調査は大いに注目です。

 ソウル市長の4日深夜の記者会見の動画(ソウル市のHP)はこちら


posted by 永遠の旅行者 at 10:01 | ソウル | Comment(0) | TrackBack(0) | MERSに恐怖する韓国 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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