2015年06月05日
ソウル市長、MERS感染拡大は「準戦時」と危機訴え 政府の情報統制破り「感染医師が1500人以上と接触」公表、朴槿恵政権は大混乱

 中東呼吸器症候群(MERS)コロナウイルスの話が続きます。
 韓国は今、MERSの恐怖に覆われ、知り合いが集まればこの話ばかりですから。(笑)


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 普段はカゼをひいても、PM2.5濃度が深刻でも、「見てくれ」を気にしてマスクをしない韓国人が、今やマスクを着用して歩いていること事態、驚くべき事です。
 誰もが外出を控え、デパートや映画館はもちろん、食堂で食事することも敬遠するようになり、繁華街はどこもガラガラ。

 私と嫁さんの住む界隈も、昼間の人通りが目に見えて減りました。


 そんな中で、ソウル市の朴元淳(パク・ウォンスン)市長が4日深夜、緊急会見を開き、韓国で35人目のMERS感染者と確認された医師が、症状が出始めた後も1500人以上のソウル市民と直接、間接的に接触していたことを明らかにし、大きな論議を呼んでいます。


 朴元淳市長が革新系で、次期大統領の座を狙っていると見なされているため、朴槿恵政権内や保守系メディアからは「国民の間に不必要な誤解と憂慮を引き起こし遺憾だ」「政治的なパフォーマンス」と反発や批判が噴出する一方で、多くの市民は「政府の情報統制を破るものだ」「情報提供こそが市民の不安を鎮める」と支持している雰囲気です。


 5日には保健福祉部の文亨杓(ムン・ヒョンピョ)長官が記者会見で市長の会見を批判しましたが、朴元淳市長は市幹部や区長ら関係者を集めた緊急会議を開き、現状について「準戦時状況だ」と危機感をあらわにし、すべての行政機関と自治体、国民が協力して難局を乗り切るよう訴えました。

 市長はさらに「朴槿恵大統領にもお願いする。情報が十分に公開されず、混乱が積み重なっている。すべての地方自治体首長を集め、対策会議を開いてくれるのが良い」と述べ、後手後手に回る政府の対応に厳しく注文を付けました。

 こうした市長の会議冒頭の発言は、テレビを通じてすべてお茶の間に生中継され、視聴者には市長が大統領の尻を叩いているようにうつったのではないでしょうか。


 ソウル市では昨夜、この感染確認医師が接触した可能性がある市民に直接、市職員が電話を掛けて事情を伝え、必要な措置を要請したところ、多くの当事者から感謝されたそうです。

 朴槿恵大統領のリーダーシップがまったく見えない中、多少の不正確さはあっても情報公開を進め、迅速な対応を取った朴元淳市長の行動が際だって見えますね。


 ちなみに、以下は市長の緊急会見を伝える聯合ニュースの記事です。

 ソウル市の朴元淳市長が4日夜、緊急会見を開き、韓国で35人目の中東呼吸器症候群(MERS)コロナウイルス感染者と確認された医師が、症状が出始めた後も1500人以上のソウル市民と直接、間接的に接触していたことを明らかにした。

 市によると、この医師はソウル市内の病院に勤務している。
 先月27日に2次感染者の患者と接触し、勤務先の判断で診療を中断するよう指示された。
 29日に咳(せき)などの軽い症状が見られたが、勤務を続けた。
 30日には微熱があったものの、午前の3時間、病院の大講堂で開かれたシンポジウムに参加した。
 夕食時に家族とともに市内のショッピングセンターで外食した後、計1565人が参加した地域行事に30分間出席した。

 31日は咳や痰(たん)、高熱など症状がひどくなった。
 しかし、午前の1時間は前日に引き続き病院内でシンポジウムに出席し、ファストフード店にも立ち寄った。一度帰宅した後、夜に病院に隔離され、翌日の今月1日に陽性と判定された。

 市は地域行事に出席した1565人のリストを確保して4日のうちに連絡を取り、自宅から出ないよう要請したという。
 それ以外の場所で医師と接触した市民の数などは、まだ正確に把握していないようだ。

 また市は政府と情報共有が十分できていないため、緊急会見を開くことになったと説明している。

 一方、保健福祉部はソウル市と緊密に協議し、情報も共有していたとする。
 医師の地域行事の出席に関しては、医師の症状が軽く、緊密に接触する集まりではなく長時間でもなかったため、大勢への隔離措置は適切でないと判断したと釈明した。
 出席者のリストを確保すれば注意を促す計画だったという。
 医師の勤務先での接触者49人と家族3人に対しては自宅隔離や観察の措置を取っている。

 勤務先の病院側は、医師は29日に多少咳があったが、30日は症状がなかったためにシンポジウムや外部の行事に出席したと主張している。
 熱が出始めたのは31日からだという。
 また、医師との密接な接触が疑われるのは、病院の入院患者10人と家族ら約40〜50人とした。
(ここまで引用)

 問題の医師はテレビ番組の電話インタビューで、「自分にMERSの症状が出たのは31日になってからであり、市長の発表は嘘だ」と反発。
 31日以前に咳などの症状があったことに関しては「自分はアレルギーのため、(時々)こうした症状が出ることがあり、仕事がしんどいために微熱が生じることもある。それはMERSの症状とは違うものだ」と怒り狂っていました。

 確かに、医師の主張が正しいのかもしれませんが、危機管理の要諦は「最悪の事態を想定して最善を尽くす」ことであり、この観点からすれば市長の行動は概ね適切だったと言えます。


 ソウル市長会見の余波かどうかは不明ですが、文亨杓長官は前述の会見で、市長批判と同時に、多数の感染者が発生した「平沢聖母病院(京畿道・平沢市)」の名前を公表し、先月15〜25日に同病院を訪問した人は京畿道もしくは保健福祉部のコールセンターに連絡するよう求めました。

 病院名公表は、国民やメディアが強く求めていた措置であり、政府の「情報統制」がわずかに緩んだ形です。


 いずれにしても、MERS拡散防止が最重要課題なのに、市長の措置が適切かどうかで大論争になるとは、本当に昨年のセウォル号沈没事故後の大混乱と酷似してきました。
 朴槿恵政権の後手後手の対応に苛立っていた多くの国民は「もう、うんざり」というのが本音でしょう。


 ちなみに、韓国メディアによると、朴元淳市長は予定していたフランス訪問を中止したとか。
 この問題をめぐっても、朴槿恵大統領が来週、米国訪問に出発する予定であるため、「どちらの判断が正しいか」という議論が起きています。


 一方、烏山(京畿道)の韓国空軍基地に勤務する兵士に感染の疑いが出ていましたが、本日、感染が確認されました。
 この兵士と同じ部隊員や、病院で感染者(自分の家族)と接触した海軍の女性兵士1人を含め、「隔離」措置を受けている韓国軍兵士は164人に増えたそうです。

 また保健福祉部の発表では、全国の「隔離」対象者は前日から153人増え1820人になりました。
 増加幅は前日(303人)の約半分とはいえ、依然として対象者は増え続けています。

 もっとも、ソウル市長を批判する保健福祉部は、「隔離」対象者に市長発表の件を含めておらず、これを合わせれば対象者は約3400人になりますね。


posted by 永遠の旅行者 at 13:05 | ソウル ☔ | Comment(0) | TrackBack(0) | MERSに恐怖する韓国 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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