2015年05月24日
北朝鮮、人民武力部長を対空砲で処刑 金正恩第1書記に口答え? 権力強化へ「恐怖政治」強まる

 日本旅行に出かけている間に旧聞となってしまいましたが、久々に北朝鮮の話を取り上げます。
 最高指導者の金正恩(キム・ジョンウン)第1書記による「恐怖政治」が猛威を振るっているようですね。


スポンサードリンク

 北朝鮮は事実上、建国の父である故金日成主席の血をひく者だけが統治者としての正当性を持つ「金王朝」体制になっているとはいえ、若い最高指導者が父親である金正日総書記時代からの古参幹部を思い通りにコントロールするのは至難の業と見られ、反抗的な者は見せしめ的に残虐な方法で処刑し、自らの力を誇示する以外に方法はないのでしょう。

 まあ、金正恩氏でなくとも、独裁者にとって「恐怖政治」は典型的な統治手法であり、中でも世襲権力を受け継ぐ者の宿命のようなものと言えます。
 古今東西を問わず、権力の正当性や統治基盤に弱点を抱えている場合、「恐怖政治」に依存する傾向があるのは歴史が証明しています。


 一方で北朝鮮は「金正恩」以外の選択肢がない国であり、朝鮮労働党や朝鮮人民軍、政府の有力者といった既得権層にとっても、この点は変わりがありません。
 権力機関の間で激しい利害対立や、「忠誠競争」によるつぶし合いによって血が流れる結果を招いたとしても、あくまで「金王朝」体制の枠組み内での出来事であり、別の支配者が登場するのを許すことは考えづらいと思われます。

 要は、党派争いで対立勢力を死に追いやる「血の歴史」を繰り返しながらも、李氏王朝体制に変動はなかった朝鮮時代のような「宮廷政治」をイメージした方が理解しやすいかもしれませんね。

 「恐怖政治」が直ちに要人の離反や反発を招いて政情不安になるわけではなく、むしろ「恐怖の安定」をもたらす効果の方が大きい場合もあります。
 金正恩氏が北朝鮮の全権を掌握する過程で回避できない過渡期の出来事という面もあるでしょう。

 もっとも、容赦のない処罰に依存する統治が長引けば権力内部に不安と疑心暗鬼を拡大させ、体制が不安定さを増す恐れがあるので、日本も警戒を怠ることが出来ないのは言うまでもありません。


 先日、韓国の情報機関、国家情報院が、朝鮮人民軍ナンバー2の玄永哲(ヒョン・ヨンチョル)人民武力部長(韓国の国防部長官に相当)が「反逆罪」で最近処刑されたと、韓国国会の情報委員会に報告しました。

 韓国では国家情報院が非公開で開かれる同委員会に対し、かなり機微に触れる情報を所属国会議員に説明するのですが、委員会終了後に幹事を務める与野党議員が韓国メディアに概要を説明するのが慣例となっています。
 玄永哲氏の処刑情報も同様でした。

 聯合ニュースなどが伝えた説明内容によると、玄永哲氏は先月24、25両日にあった軍行事での居眠りをとがめられたほか、金正恩氏の指示に口答えし、命令に従わなかったことが「不敬」「不忠」にあたるとして反逆罪に問われました。
 先月30日ごろ平壌の順安区域にある軍官学校の射撃場で数百人が見守る中、高射砲を使って銃殺さたそうです。

 玄永哲氏のほか、馬元春(マ・ウォンチュン)国防委員会設計局長、辺仁善(ビョン・インソン)軍総参謀部作戦局長、韓光相(ハン・グァンサン)朝鮮労働党財政経理部長らも粛清されたとか。

 玄氏は軍トップの黄炳誓(ファン・ビョンソ)総政治局長に次いで実権を握っていたとされ、先月中旬も「米国との核戦争も辞さない」と威嚇しただけに、米韓両政府でも驚きを持って受け止められているようです。


 ちなみに、金正恩氏は権力強化のため、これまで70人余りの幹部を粛清したとされ、韓国メディアも「恐怖政治」の先行きや影響について注目していました。

 聯合ニュースが国家情報院の説明内容として伝えたところによると、金正恩氏が政権に就いてから銃殺された幹部は2012年が3人、13年が約30人、14年が31人、今年はこれまでに8人で、対象は張成沢(チャン・ソンテク)元国防副委員長のような最高幹部はもちろん、党中央や地方などの中間幹部まで含まれています。
 一般市民を含めると今年に入り既に15人が処刑されているとか。

 処刑理由は、反党・反革命分派行為、スパイ罪、金正恩氏の指示や政策推進に不満を口にすることのほか、不正行為、女性問題まで広範囲に及んでいます。

 特徴的なのは処刑方法の残忍さでしょう。
 関連分野の人員や対象者の家族まで動員し、その目の前で銃身が4つある14.5ミリ高射銃(高射砲)で銃殺する方法が取られているそうです。

 中央日報は、昨年作成された北朝鮮内部の文書等を通じ「反逆者はこの地に埋める場所がない」として、処刑後は火炎放射器を使用し死体の痕跡を残さない方式が取られていることが確認された、と報じています。


 処刑者数は、金正日総書記が政権に就いてからの4年間で10人余りを処刑したのに比べれば多いですが、金正恩氏の権力基盤がそれだけ脆弱なことを示しているわけです。


posted by 永遠の旅行者 at 18:14 | ソウル | Comment(0) | TrackBack(0) | 金正恩の北朝鮮、愛憎渦巻く韓国 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
この記事へのコメント
コメントを書く
お名前:

メールアドレス:

ホームページアドレス:

コメント:

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。

この記事へのトラックバック
×

この広告は180日以上新しい記事の投稿がないブログに表示されております。