2015年04月12日
米本土狙う北朝鮮のICBM、核の脅威高まる ノドンは在日米軍基地攻撃用、金正恩政権の開発拍車を制止する手段なし
 日米韓のメディアが一斉に伝えていたので、ニュースを目にした方も多いと思いますが、北朝鮮の核とミサイルの話を少しします。

 報道によると、米本土防衛を担当する北方軍のゴートニー司令官が7日、国防総省での記者会見で、北朝鮮の核・ミサイル開発の現状について「核兵器をKN08に載せて、米本土に向け発射する能力が北朝鮮にあるというのが我々の分析だ」と言明しました。
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(ミサイル部品を製造する平壌弱電工場を視察する金正恩第1書記 2015年4月8日付の朝鮮労働党機関紙「労働新聞」)


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 「KN08」というのは、北朝鮮が開発を進めている移動式の大陸間弾道ミサイル(ICBM)のことで、米国がつけたコードネームです。

 司令官の発言は、要は米国として偵察衛星や通信傍受などによる多角的な情報収集活動に加え、北朝鮮が過去に行った弾道ミサイル実験の際の監視活動を通じて集めた膨大なデータを、米国の軍や情報機関の専門家が詳細に分析した結果、北朝鮮がミサイルの弾頭に搭載できる大きさまで核弾頭を小型化することに既に成功し、「KN08」に関しても米本土に到達できるレベルの能力を確保していると判断している、という意味です。


 どうですか。
 まあ、米国に向けて発射した後、核弾頭が大気圏の再突入によって生じる高熱に耐え、狙った通りの目標を正確に狙えるのかという点までは言及がなかったようです。
 さすがの米国も「そこまでは分からない」、もしくは「判断できる材料が乏しい」ということなのでしょうね。


 「KN08」の発射実験は未だ確認されていないようですが、北朝鮮は既に核実験を3回実施し、2012年12月に長距離ロケット「銀河3号」で「実用人工衛星」の軌道投入に成功していることから、必ずしも「KN08」を実際に発射しなくても実践配備は可能だとする専門家もいます。


 北朝鮮による核の小型化技術獲得を懸念する発言が米軍から最近、相次いでいることからも、米国が従来に比べ、北朝鮮の「核弾頭ミサイル」開発に対する懸念を強めていることは確かです。。


 とにかく、米国の偵察衛星の性能がいくら優秀であっても、普段は山中(多くの場合、中国国境に近い山間部)の偽装された格納施設に隠され、発車直前に移動式発射台(牽引車付きトレーラーのような感じ)で外部に姿を現し、短時間で発射される移動式弾道ミサイルの配備状況を正確に把握するのは容易ではない上、発射を準備段階で把握するのは相当な困難を伴います。

 結局、米国の早期警戒衛星がミサイル発射時にロケットブースターから燃焼ガスが噴射されるのを「熱源」として探知した後、迎撃準備に入るしか手はありません。


 もちろん、在韓米軍に終末高高度防衛ミサイル(THAAD)を配備するのを朴槿恵政権に了解させるため、あえて北朝鮮の核弾頭ミサイルの脅威を強調している面はあるでしょうが、単なるブラフというわけではありません。


 中央日報によると、航空研究機関エアロスペースコーポレーションのシーリング研究員は北朝鮮専門ウェブサイト「38ノース」に載せた報告書で、「北朝鮮は現在、北東アジアの大部分を打撃できる弾道ミサイル約千基を保有している」とし、「北朝鮮が順調にミサイル技術を取得すれば、最悪の場合、2020年までに初期作戦遂行能力を備えた20−30基のKN08ミサイルを確保するだろう」と予想。
また「北朝鮮はKN08の最大射程距離を1万5千キロまで伸ばす改良型の開発にも取り組むはず」と警告しています。


 聯合ニュースによると、この発言に対し、韓国国防部の報道官は9日の定例記者会見で、「(北朝鮮が)核兵器を小型化し弾道ミサイルに搭載したという情報はない」と述べました。
 報道官は、北朝鮮が相当な技術水準を持っているものの、核兵器の小型化には成功していないとした上で、「KN08は現在、実戦配備の段階には達していないというのが米国の公式的な立場だ」と強調しました。

 報道官の発言は、THAAD必須論が韓国内で急拡大するのを事前に防止するための「火消し」作業ですね。


 韓国にしても、今年1月に発刊された「2014国防白書」で、北朝鮮が核兵器を小型化する能力は相当な水準に達し、長距離ミサイルで米本土を脅かし得る能力を持っているとの見方を示しています。
 北朝鮮のミサイルの射程についても、2012年版の「テポドン6700キロ」から、2014年版は「テポドン2号1万キロ」に変更されています。


 ところで、KN08が配備されていなくても、北朝鮮の弾道ミサイルの脅威は相当なレベルです。

 韓国国防白書などによると、北朝鮮は短距離弾道ミサイル「スカッドB、C」(射程300〜500キロ))、「ノドン」(同1300キロ)、中距離弾道ミサイル「ムスダン」(3千キロ以上、2007年から実践配備)など、合計で約千基の弾道ミサイルを国土の全域に実戦配備しています。

 聯合ニュースによると、命中精度が低く老朽化した「スカッド」シリーズを一部廃棄して配備数を400基程度に削減する一方で、最近でも射程距離230キロと推定される新型戦術弾道ミサイルを開発したり、通常の短距離ミサイルの命中精度向上を図るなど、金正恩政権発足後もミサイル能力強化に取り組んできました。

 「スカッド」「ノドン」「ムスダン」はいずれも移動式で、北朝鮮が保有している移動式発射台はスカッド用が約40台、ノドン用が約40台、ムスダン用が14台とされています。

 さらに、北朝鮮は2013年末から短・中・長距離ミサイルの戦力を統合し、「戦略軍」を創設し、指揮系統の一元化を図り、有事の対応能力を強化したとか。


 弾頭の重量が700キロのスカッドC、1トンのスカッドBと700キロのノドンは韓国全域や在日米軍基地を狙うことができ、生物・化学兵器を搭載することも可能。
 弾頭重量650キロで米グアムを狙えるムスダンも、生物・化学兵器を搭載できるとみられています。

 これだけでも相当な脅威ですが、北朝鮮としては、ノドンやムスダンに核弾頭を搭載して米国を脅せば、仮に通常兵器を使って韓国に侵攻した場合でも、米軍による北朝鮮本土に対する「報復攻撃」を阻止できると考えているでしょう。

 そういう意味で北朝鮮にとって、核は「抑止力」なのです。


 特に1997年から実戦配備されたノドンは約200基あると推定され、日本にとってはこれが最も大きな脅威となります。


 以下は「『核保有国』北朝鮮の5年後」と題した米ニューズウィークの記事です。

 北朝鮮が核備蓄を着々と増やしている。最悪の場合、5年後には100発もの核弾頭を保有している可能性があるという。

 この予測は先週、米ジョンズ・ホプキンズ大学米韓研究所と米国防大学の共同研究プロジェクト「北朝鮮の核の未来」が示したもの。それによると、昨年末の時点で北朝鮮が保有していた核弾頭は10〜16発で、20年までの開発動向としては3つのシナリオが考えられる。

 まず、開発が最も遅いシナリオ。新たな核実験もミサイル発射実験も行われないが、核弾頭は20発に増える。

 第2のシナリオは従来と同じ開発ペースで、核弾頭は50発まで増える。中距離弾道ミサイル(IRBM)や、場合によっては大陸間弾道ミサイル(ICBM)への実装も可能になる。

 第3のシナリオでは核とミサイルの開発が急速に進み、核弾頭の備蓄は100発、ICBMは20〜30基に達する恐れがある。

 報告書はさらに、北朝鮮が既に核弾頭をミサイルに実装する小型化技術を獲得していると指摘。ということは、5年後には日本だけでなくアメリカにも北朝鮮の核ミサイルが飛んでくる可能性がある。

 これで従来の核交渉が失敗だったことがはっきりした。アメリカ(と国連)は、北朝鮮に経済制裁をちらつかせて、核開発続行か経済発展かを迫ってきた。だが、「北朝鮮は選択する必要がない。両方手にしているのだから」と、米韓研究所のジョエル・ウィット研究員は語る。

 ロシア、中国、ASEAN諸国などの周辺国は、北朝鮮と正常な政治経済関係を築いている。おかげで北朝鮮は、核開発とミサイル開発に必要なインフラをひと通り完成させた。ここから先の開発のコストは「さほど大きくない」と、核問題専門家で元国連査察官のデービッド・オルブライトは指摘する。

 だとすれば、核備蓄拡大に向けた北朝鮮の野望をくじくのは、ますます難しくなりそうだ。
(ここまで引用)









posted by 永遠の旅行者 at 13:45 | ソウル ☁ | Comment(0) | TrackBack(0) | 金正恩の北朝鮮、愛憎渦巻く韓国 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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