2015年03月21日
安倍首相の米議会演説契機に「反米」高揚の恐れも 韓国、「日本の肩持つ」オバマ政権に苛立ち
 安倍首相が来月の訪米の際、日本の首相として初めて米上下両院合同会議で演説を行うことになったようですね。

 20日付の韓国紙の1面トップも「敗戦70年ぶりに安倍が米議会で演説」(中央日報)でした。

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 とにかく、韓国メディアは、早くから安倍首相の米議会演説の行方に異様な関心を持っており、事あるごとに「慰安婦などで退行的な歴史認識を持つ安倍に演説を許すな」という論調で、一般記事はもちろん、コラムや論説まで総動員しながら、「阻止」を訴えてきました。

 今回、演説実現が確定的になったことを受け、韓国メディアの攻撃の矛先は、朴槿恵政権の「外交失敗」に向かっています。


 韓国政府が水面下で米政府や議会に「安倍演説阻止」を強く働きかけてきたことは韓国メディアの報道で明らかですし、最近は国会議長まで米議会を訪れ、有力議員相手に「工作活動」をやっていましたね。

 慰安婦「少女像」の設置で力を見せた在米韓国系団体も「議会演説阻止」を叫び、活発に動きました。
 当然、韓国政府と連携していると思われますが、インターネット上で「演説反対」の署名を募ったり、韓国系米国人の「代弁者」と見なされている有力議員への働きかけを行ってきました。


 日本による植民地支配の歴史があり、ここ数年は慰安婦問題が再燃しているとはいえ、ここまでやるのは、やはり「対日歴史戦争」を戦っている、という基本認識があるからでしょう。


 まあ、安倍政権もその辺は心得ていて、しっかりと対応していたようですから、韓国メディアが言うように「朴槿恵政権の外交敗北」という面があるのは事実です。


 ただ、地球儀ベースの国際政治の流れや、中国の勃興につれて引き起こされるアジア地域の秩序再編をめぐる合従連衡の動きに目をふさぎ、あくまで「天動説」的な自国中心主義の観点から、外交を進めることについては、政府はもちろん、韓国メディア内からも明確な言及はほとんどありません。


 外国人の目からすれば、「この国は本当に大丈夫なのか?」と思わず心配になりますね。
 これは私だけの感想でなく、友人の在韓米国人も同感していました。


 まあ、日本についても鳩山由紀夫政権や菅直人政権時代には、韓国人の友人から「日本は大丈夫か」と同情されましたが。(笑)



 昨日の韓国紙の報道ぶりは、日本メディアもかなり詳細に伝えているようですが、韓国各紙ともショックが隠せない様子でした。
 このショックで「日本の肩を持つ」米国への逆恨みが高じて、今後、反米感情の火が噴き出す素地が広がったように感じられます。


 文化日報は社説で、朴槿恵政権の「ひどい外交失敗」を叱咤した上で、「『過去の敵を非難して、安価な拍手を受ける政治』と言ったウェンディ・シャーマン米国務次官の発言は、失言ではなかったのだ」と指摘。
 「日米関係のこのような変化は、韓国外交への重大な挑戦である」とまで言い切りました。


 左派的な論調で知られる京郷新聞の社説に至っては「米議会は、安倍演説の内容が、韓国人の対米認識を変える可能性があることを忘れてはならない。安倍首相の演説内容に不十分な点があるなら、それは当然、安倍首相自身の責任だが、米議会にも責任があると韓国人は考える」と米国に警告を発しています。


 野党支持の論陣を張るハンギョレ新聞は、折しも米国が韓国配備を推進する高高度防衛ミサイル(THAAD)をめぐり、朴槿恵政権が米国寄りの立場を取っているとして批判を強めています。


 ハンギョレ新聞と京郷新聞は保守与党と完全な対決姿勢を貫いており、左派と若者からの支持が比較的高いメディアです。

 前の李明博政権時代の2008年に米国産牛肉の輸入解禁反対を訴える大規模デモ・集会が続いた際も、積極的に支持、というか、「反政府行動」を煽るような論調を展開。
 これがネットやSNSを通じて、市民の「不安心理」をくすぐる様々なウワサ話と一緒に爆発的に広まり、デモ拡大に大きく貢献したと見られます。


 韓国の左派はもともと「民族主義」であり、「反日」なのですが、同時に「反米」的な性向も強いのが実態です。
 これは韓国の過去の軍事政権が民主化運動を抑圧するのを米国が手助けしたり、黙認したと考えている上、韓国と北朝鮮の「南北統一」の動きを米国が妨害している、という基本認識があるためです。

 
 このため韓国内の左派勢力や左派寄りのメディアにとって、朴槿恵大統領が「安倍演説」で敗北したことは格好の政権攻撃材料となるだけでなく、「日本の肩を持つ」米国批判を広く展開することで、韓国民の心の奥底に潜む反米感情を刺激し、米国に反発する雰囲気を醸成しようとするはずです。


 左派系の市民団体などが「親米、親日の朴槿恵政権」という批判を既に繰り広げている様子で、こうした訴えが就職難に喘ぎ、現実社会に強い不満を抱く若い世代の間で力を持っていく可能性も否定できません。

 富の偏在や社会の格差に対する絶望と反発が若者を過激な思想に追いやり、これをネットを使った巧みな宣伝戦でつり上げるのは、何も「イスラム国」の専売特許ではありません。


 韓国では、若者らがネットの掲示板上で朴槿恵政権を「親日」と非難する姿が日常的に見受けられます。
 「離米従中」の政権を「親日」と呼ぶこと自体、外国人には理解不能な発想なのですが、野党支持の多い韓国の若い世代の間では、まったく荒唐無稽な考え方ではありません。


 朴槿恵政権に最も近く、韓国で最大部数を誇る保守紙「朝鮮日報」の社説については、昨日紹介したので省略しますが、朴槿恵大統領の外交無策ぶりへの怒りに満ちた異例の内容でした。

 前の李明博政権と蜜月関係にあり、朴槿恵政権と距離を置く保守有力紙「東亜日報」の社説は、朴槿恵外交を厳しく批判しているのは当然ですが、今回の動きについて「戦犯国の首相が戦後70年の日米関係について演説することは、米国が日本との過去に終止符を打ち、最高の友好国として受け入れるという象徴的な意味がある」と分析。
 「安倍首相の演説によって米国が主導する環太平洋パートナーシップ協定(TPP)交渉も終わり、韓国がTPPに参加する門戸が閉ざされる可能性もある」と危機感をあらわにしています。


 東亜日報の社説は、日本批判の記述はともかく、日米関係と韓国の現状に関する分析は、かなり的を得たものと言えます。
 昨日の朝鮮日報の社説といい、保守の2大紙はある程度、的確に現状を把握していると言えますね。


 ただ、韓国人は新聞の社説どころが、新聞自体をそれほど読みませんから、保守紙の一般国民への影響はほとんど無いと言ってよいでしょう。
 まあ、政治家と官僚、がちがちの保守層は読むので、政府の政策には一定の影響を与えますが。(笑)

 逆に保守紙よりも発行部数が遙かに少なくても、野党支持の左派系新聞の一般国民に対する影響力の方がバカに出来ません。


 最大野党の新政治民主連合は、日本の民主党のように中道、穏健左派から極左に近い人物までの寄り合い所帯ですが、様々な市民団体や労組組織と深いつながりがあり、互いに持ちつ持たれずの関係です。

 例の米国大使襲撃犯も複数の同党議員からいろいろ支援を受けていたことが明らかになったように、犯罪行為を繰り返す過激な民族主義者でも、「反日無罪」の社会では協力関係が出来るのです。
 もちろん、北朝鮮に対する宥和政策を掲げる同党だけに、親北朝鮮の議員もかなりいます。


 同党は、政権攻撃のチャンスとみれば、国会論戦ではなく、街頭闘争を始め、前述のような市民団や労組と協力して大規模集会・デモを組織し、政府に圧力を加えるのが常套手段。

 左派と野党陣営はネットを最大限に利用して人々の不安心理や怒りを煽り、扇動する戦術に非情に精通しており、その威力は大変なものです。
 既存メディアは信じられないとばかりに、ネットを通じて集会やデモの様子を「実況生放送」し、街頭でもスマホで視聴できるようにしています。


 前述の牛肉デモの際には、動員された市民団体や労組メンバー以外に、中高生から幼児を抱えた母親、家族連れまで幅広い層の市民が多数参加しましたが、ほとんどはネットで流れる情報を見て「居ても立ってもいられなくなって」駆け付けた人々です。

 スマホが普及した現在は、「呼びかけ」がもっと臨場感あるものになるかも知れませんね。


 今は米国大使襲撃事件の余波もあって、韓国社会は親米ムードになっていますが、韓国人の心変わりはある日突然、やってきます。

 新政治民主連合の代表、文在寅氏は「反米」だった盧武鉉元大統領の「盟友」であり、最側近として大統領秘書室長などを務めた人物です。
 正面切って米国と対立するような言動はしていませんが、世論の流れが「反米」に向かえば、迎合していくことは間違いないでしょう。


 韓国は来年春に総選挙を控えており、THAAD配備問題を含め、対米、対中外交をめぐるメディアを巻き込んだ論戦が活発化しそうな雲行き。
 与野党対決が先鋭化し易く、双方とも相手陣営を攻撃できる材料があれば何でも利用するのは確実で、「反米」「嫌米」の雰囲気が高まれば、野党陣営は「自主外交、自主国防」をアピールしながら政権批判を展開するはずです。


 そうなれば、習近平政権の思うつぼであり、韓国世論を煽りながら、さらなる米韓離間を謀るでしょう。


 つまり、安倍首相の米議会演説が引き金となり、韓国民の「反日」が「反米」へと転換した場合、例え朴槿恵政権が中国に傾斜しすぎた外交路線を修正しようとしても、身動き取れなくなる恐れが十分にあるということです。


 1つだけ確かなことは、事態がどう転んでも、与野党のどちらの陣営が主導権を握っても、「反日」外交が変わることはないと見られます。
 韓国の今後の動向に注目です。







posted by 永遠の旅行者 at 17:24 | ソウル ☀ | Comment(0) | TrackBack(0) | 韓国政治 反日の朴槿恵政権 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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