2015年03月19日
米国の国際金融支配に挑戦する中国 AIIBは「アジア戦線」の闘いの序章、日本は「韓国利用法」研究を
 中国が韓国に対し、アジアインフラ投資銀行(AIIB)に参加するよう一段と圧迫を強めていますね。

 朴槿恵政権も、「反日情緒」と「中国恐怖症」を持っている国民も、今にも中国になびきそうになるのを米国が「脅しとすかし」を駆使しながら、必死で食い止めているのが現在の状況です。




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 日本では「嫌中」「嫌韓」の感情が広まっているため、この問題について「日米vs中国」「海洋勢力vs大陸勢力」という地域覇権ゲームの中で、「韓国が進退窮まり困っている」という構図だけを見てしまいがちです。

 このブログでもそうした構図を紹介してきましたし、それはそれで正しいのですが、もっと大きな視点で見れば、小さな北東アジア域内の争いではなく、地球儀ベースで進む「国際秩序の再編」を求める新興国勢力の動きの1つということができます。


 もちろん、その新興国勢力の中心にいるのは中国ですが、プレーヤーは1国だけではありませんし、「ある時は味方、ある時は敵」というパラレルな関係で動く点も、冷戦時代とはゲームのルールが違います。


 勃興著しい中国が習近平体制の下で「中華民族の偉大なる復興」という「中国の夢」を掲げ、アジアと西太平洋から米国を追い出し、自らの勢力圏に置こうと周辺諸国への軍事的な圧迫を強めていますし、ロシアはプーチン大統領の指導下で欧州からアジアにかけて大きな影響力を行使する「大ユーラシア国家」の再興を目指しているように感じられます。

 これを抑えようとする米国が、「アジア戦線」では中国の直接的な脅威に直面している日本を引き込み、中国の影響力拡大を警戒するインドとオーストラリアを加え、対中封じ込めの包囲網を形成しつつあります。

 一方、「欧州戦線」では、英国、ドイツ、フランスなどの欧州連合(EU)諸国、トルコなどと共同戦線を張っています。


 ただ、冷戦期の東西陣営の対立のように単純ではなく、中国とロシアも表面上は安保、経済で協力しつつも、水面下では足の蹴り合いをやっています。
 まあ、この2国は冷戦時代も多分にそうでしたが。(笑)

 日本は、中国には強硬姿勢ですが、ロシアに関しては対中けん制やエネルギー安保の面で協力体制を築きたいのが本音です。
 もちろん、北方領土問題の円満な解決も願っていますが、対ロシア外交をめぐる日本の「真の国益」は別の所にあります。


 ロシアに対する対応についても、ドイツは経済的な結びつきが深まったロシアをあまり追い詰めたくないのが実情であり、ウクライナ問題で強い対ロ制裁を推進する米国や英国とは必ずしも考え方が一致していません。

 しかも、欧州の不況が深刻化し、中国が戦略的に欧州諸国を引き込もうとして大規模投資をちらつかせると、「背に腹は代えられない」と多くの国が中国になびいているのが実態です。


 まあ、欧州諸国の人々にとっては、ロシアや中東問題は皮膚感覚として身近な問題と感じられますが、「中国の脅威」というのは、遠い極東の出来事なのでしょうね。

 だから、同盟国の米国がいくら「AIIBに参加するな」と打診しても、結局は自他共に米国の最重要同盟国を自認する英国でさえ、経済界の声に押されて、オバマ大統領に内緒でAIIB参加を事実上決定し、抜き打ち発表してしまいました。


 英国がAIIBへの参加を決定したのを見ると、ドイツ、フランスやイタリアも同調し、安保面では中国包囲網に参加するオーストラリアも「経済は別」ということで、参加の是非を再検討し始めるなど、「ドミノ倒し」のように中国有利に事態が展開しています。


 一方、このところはAIIBばかりに注目が集まっていますが、もっと重要なのは昨年7月にブラジル、ロシア、インド、中国、南アフリカの5カ国(BRICS)が「新開発銀行」の設立に合意したことです。

 この合意は将来、1944年7月に当時の連合国44ヵ国の代表が米国ニューハンプシャー州のブレトン・ウッズに集まり、第2次大戦後の世界金融に関する協議を行い、国際通貨基金(IMF)と世界銀行(正式名称は国際復興開発銀行)設立を決めた出来事に対比して語られる可能性がある「大イベント」と言えます。

 つまり、BRICSの「新開発銀行」設立は、IMFと世界銀行を実行機関として戦後から今に続く米国主導の国際金融レジーム「ブレトン・ウッズ体制」に反旗を翻すものであるからです。


 中国は、米国の力の源泉が強大な軍事力と、基軸通貨「米ドル」を中心とした世界貿易体制、さらにIMFと世界銀行を核とする国際金融支配などにあるとみているのは確実で、これを切り崩しに出ているわけです。

 AIIBも、こうした米国主導の国際金融支配を打破する「ツール」として出てきたものです。


 世界規模では、「新開発銀行」をテコにIMFと世界銀行に対抗し、自らの庭先のアジアではAIIBを使って日本と米国が事実上運営するアジア開発銀行の力をそぐのが狙いであることは間違いありません。


 AIIBをめぐる確執は、地球儀ベースで進む現在の国際金融秩序に対する中国の「挑戦」の一環であり、この「挑戦」には日米の同盟国や友好国も複雑に絡んできているわけです。


 中国の目標は単純で、まず軍事力拡大で西太平洋から米軍を駆逐して同海域を自らの「庭」として支配下に置き、AIIBを使ってアジアの金融秩序を再編し、アジア全域を事実上、経済支配していくことです。

 その一方で、中国との貿易で各国に「米ドル決済」ではなく、「人民元との直接決済」を広めていくことで基軸通貨としての米ドルの弱体化を図るとともに、上記のように、IMFと世界銀行を核とする米国主導の国際金融秩序も中国主導に変えていくのが目標でしょう。


 ただ、新開発銀行の資本金500億ドルについて、BRICS5カ国が平等に分担することになったのを見ても、現状で圧倒的な経済力をもつ中国のペースになることにブラジル、インド、ロシアが難色を示したのは間違いなく、すべてが中国の思いのままに進むわけでもありません。

 自らの「国益」が損なわれる恐れが出れば、米国は中国の行く手を全力で阻もうとするでしょうし、ご存じのように既に動き出していますね。

 中国が自国のエゴをむき出しにすれば、ブラジル、インド、ロシアからけん制が入り、中国の描く自国だけに都合の良い「夢」が国際金融の世界でそのまま実現できるかどうかも未知数です。


 ただ、問題は、中国は習近平体制の次に移っても、「中国の夢」を追いかけるのは間違いありません。
 それは「中華思想」の問題というよりは、共産党独裁体制を維持するためには、膨張を続ける以外に道がないからではないでしょうか。


 私も個人的には、この「夢」が実現して欲しくはないのですが、日本国内の「嫌中派」の人々が声に叫ぶように「中国の経済破綻」や「中国の分裂」はそう簡単には起きないでしょう。

 もちろん、近い将来、シャドーバンキング問題などをきっかけに「チャイナ・ショック」が現実のものとなるかもしれませんが、それでも当面は、中国が世界の成長を牽引する機関車であることに変わりはありません。


 ところで問題の韓国ですが、日米中心のアジア秩序の下では、「日本の風下」に立つしかない現状に大きな不満を抱えているのは、周知の通りですね。

 そして勃興する中国から「アジアのナンバー2に認定してもらえる絶好のチャンスが来た」と思っていますから、AIIBに入って「副総裁」ポストをもらいたくて、仕方が無いのです。


 先日の米国大使襲撃事件もあって、米国をこれ以上怒らすのは得策ではないため、ぎりぎりまで参加問題の結論を先延ばししていますが、まだ希望を捨てていません。


 中国の圧迫に不快感を口に出す人は増えているように思われますが、英国、ドイツ、フランス、イタリアがAIIBの創設メンバーとなることから、朴槿恵政権に最も近い有力紙、朝鮮日報は社説で「AIIBへの参加の是非は、韓中関係や韓米関係だけを考慮して判断すべきではない。国際金融秩序の再編という大きな波の中で、韓国の役割を模索すべきだ」と説き、政府に参加決定を促しています。


 また、中央日報によると、韓国政府はAIIBについて、中国が総裁職に就かないか、中国に本部を置かないといった条件等が満たされてこそ、韓国が加入できるとの方針を固めた、と報道しました。

 これが事実なら、韓国としては、米国に対して参加容認の口実にしようと考え出した案なのでしょうが、中国が総裁ポストを放棄するとは思えません。
 ただ、中国が対米戦略上、どうしても韓国を引き込みたいと思えば、本部に関しては再考の余地があるのかもしれません。


 いずれにしても、米国が「スーパーパワー」の地位から滑り落ちつつある一方で、中国が急膨張する中で始まった「世界覇権ゲーム」のうち、「アジア金融編」の第一章であり、これからが本番です。

 日本はアベノミクスで浮かれていますが、要は米国が日本を冷たい「対中戦争」の前線に立たせるために、円安を容認して経済力の回復を図らせているわけです。

 株高は所詮、円安の副産物みたいなものですから、「花見酒」は悪酔いを招きます。
 多分。


 その米国も、財政力の限界から、いつ水面下で中国と「アジア分割」の裏取引をするか、分かったものではありません。
 すべては「国益」優先ですから。

 日本にとっては、米軍をなんとか北東アジアにとどめ、米国の巨大なプレゼンスの助けを借りて中国に対抗する以外に選択肢はありませんから、ある意味で一番苦しいのは日本かもしれません。


 韓国は、国民は「中国なしには生きていけない」と思っていますし、経済は中国依存ですから、何だかんだ言っても、最後は国益を大義名分に米韓同盟を解体して、「エイヤ」と中国にくっつくことだって出来ます。

 米国は既に「世界の警察官」の役割を放棄していますし、中国と密約を結んでハワイまで撤退することも、最終的には選択肢になるはずです。


 ところが、日本は別の場所に引っ越すことは出来ず、中韓同盟が出来れば、済州島に中国軍が駐留し、尖閣諸島ばかりか、九州や本州も中国の通常兵器による直接的な脅威にさらされます。(既に核弾頭ミサイルの目標にはなっているでしょうが‥)

 日本では米韓関係の悪化を喜ぶ論調も多いですが、米韓同盟が解体され、米軍が韓国を撤退して一番困るのは日本です。
 日本の安全保障の面から見れば、在韓米軍は、韓国が日本を攻撃するのを防ぐ「抑止力」なのです。


 私も多くの日本人と同様、朴槿恵政権の「反日」には堪忍袋の緒が切れましたが、だからといって、韓国を敵に回すのは避ける必要があります。

 別に韓国を好きでも嫌いでも、日本にとって何の関係もないので、どうでも良いのです。(笑)
 その一方でも、例え嫌いであっても、韓国を日本の安全保障のために「如何に利用していくか」ということだけを考えればよいのです。

 日本がヘンに謝罪外交したり、カネを出すことはありませんが、「実利」を重視した対応は必要です。
 冷静に考えれば、韓国の「利用法」はもっとあるはずです。





posted by 永遠の旅行者 at 19:48 | ソウル | Comment(0) | TrackBack(0) | 膨張中国と対決する日米、従属の韓国 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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