2015年03月08日
大阪市のプリペイドカード方式は賢明なアイデア 生活保護費、浪費や不正受給防ぎ、自立促す制度へ改変を
 本日は生活保護について少し考えてみたいと思います。

 数年前から日本では生活保護をめぐる論争が激しくなっていますね。




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 特に生活保護受給額が、家族構成によっては国民年金受給者よりはるかに多い上、生活保護以下の年収でまじめに暮らしている人が多くいる現実から、「不公平感」が急速に広まったのは当然と言えます。
 しかも生活保護者がもらった金をパチンコなどのギャンブルに浪費したり、海外旅行に出かけるなどの「贅沢」をするのは、懸命に頑張る国民の目には許しがたい行為でしょう。


 ただ、生活保護者に「税金泥棒」といったレッテルを貼り、本当に困っている人が支給申請を必要以上に躊躇したり、役所が行政裁量で何でも門前払いにする動きが広がっては、憲法に保障された「健康で文化的な生活」を受ける権利を守るツールである「生活保護制度」の目的を損なうことになります。


 生活保護費の不正受給の比率は、2012年度で0.53%(厚労省調べ)にとどまっており、日弁連も「全体の1%にも満たない」と説明しています。
 最近は警察の不正摘発も活発化しており、後ろめたい行為を行おうとする人々に対しては、かなりの抑止力になっているはずです。

 生活保護に反感を抱く人の気持ちは十分に理解できますが、制度改革について冷静な議論を行い、生活保護者の自立を助け、税金の効率的な使い方を模索するべきでしょう。


 一方で、生活保護制度のあり方を議論すると、すぐに「改悪反対」と叫ぶ団体がありますが、海外に住む者の目から見ると、「随分と気楽な人たちだな」というのが実感です。

 韓国の場合、生活保護の支給額は1人暮らしなら50万ウォン(約5万4000円)程度ですし、日本と違って両親や兄弟など近親者に相応の所得があれば支給されません。
 この基準に引っ掛かり、生活保護の受給が認められない人が現在100万人以上いると言われています。

 米国ですら貧しい人にはミールクーポンを配布して食事の支援をしています。
 欧州は日本より福祉制度が充実している国々があるとは言え、それだけ国民の税負担が重いわけで、選択の問題ですね。


 日本の場合、今後も高齢化の進展に伴って、年金だけでは生活できず生活保護に頼る高齢者が確実に増加する見通しです。
 生活保護制度を含め、福祉充実のために、欧州のように消費税を20%以上に引き上げるのであれば、このまま放っておいても当面は構わないのかもしれませんが、それが嫌なら制度を改変していくのは避けられません。


 しかも、日本は世界有数の恵まれた公的医療保険制度を備え、誰でも少ない自己負担で高度な医療を受けることができます。
 生活保護ならその自己負担すらもありません。
 なんと恵まれているのでしょうか。


 現在の生活保護費は現金支給であるため、ギャンブルなどの遊興行為につぎ込んでも咎める人はおらず、使い道は本人次第で、むしろ自立を妨害する結果にもなっています。
 そして、生活保護者や支援団体は、懸命に働いて稼いでいる家庭を基準に「多い」「少ない」の議論をし、「もっと必要だ」という人までいます。

 何か、少しおかしいですよね。


 ところで、少し旧聞になりますが、昨年12月に大阪市の橋本市長が、生活保護費の一部をプリペイドカードで支給することを、モデル事業として実施すると発表し、話題になりました。

 プリペイドカード導入の目的については「経済的に自立していくため、まずはキチッと家計を把握することが肝要」とし、「ギャンブルや過度な飲酒などに生活費を費消し、自立に向けた生活設計をたてることが困難な方への支援も求められている」と説明しています。


 事業は、大阪市が三井住友カード、富士通総研と協定を締結して実施するということなので、かなり本格的です。


 生活保護者の支援団体が「プライバシー権と自己決定権を侵害し、使えない店があり日常生活に支障が出る」と主張し、計画「撤回」を求めていますが、説得力がありませんね。


 生活保護者はあくまで、自立するまでの「一時的な措置」として自治体から給付金を受けるのであり、国民には投入される「税金」を監視する権利があります。
 使い道が一般に公表されるわけではないのに、「プライバシー権侵害」とは分けが分かりませんね。


 「税金」から支援を受ける以上、受給者の側にも一定の説明責任はあるはずです。
 生活保護を受けるのが悪いというのではなく、受給の「権利」には、一定の「義務」も伴うということです。


 私は、一律に個人の生活保護費を減らすようなやり方は抑制すべきだと考えますが、国と自治体は野放図な支給でないことを納税者に説明する義務があり、受給者の側も一定の不便を甘受すべきなのは当然です。

 それが嫌なら、自分で働けばよいわけです。
 日本ではコンビニのアルバイトをしても、当面は生活できますから。


 「フードスタンプ」や「ミールクーポン」は、使える店が限定されたり、この制度を構築する上でのコストがかかりますが、プリペイドカード方式であれば、特別な費用をかけずに大型スーパーやドラッグストア、コンビニを含め、かなりの範囲の店で利用可能にするのは簡単なはずです。

 大阪市が具体的にどのような形態のカードにするのかは不明ですが、「PASMO(パスモ)」やー「Suica」などが使える店で使用可能にするだけで、ほぼ目的を達成できるからです。

 そして、世の中の流れは、どんどんキャッシュレスに進んでいますから、生活保護者にとっても、生活用品購入や飲食に関しては、この方が便利なのは間違いありません。


 もちろん、パチンコや競馬に使うことはできませんから、自治体側は生活保護制度に対する納税者の理解を得やすくなり、不正受給や重複受給も簡単にチェックできます。


 もともと医療費は無料なので、住居費を除けば、緊急用としてごく一部だけ(例えば、支給額の30%とか)を現金支給すれば、何の問題も起きません。


 生活保護者のうち、無年金や年金額が少ない高齢者については、将来的には抜本的な年金改革の中で解決すべき問題でしょうし、母子家庭については少子化対策の一環として、子供の教育費負担を実質ゼロにしたり、母親が働きやすいように保育園や幼稚園での優遇措置を取っていく方向で支援すべきです。

 とにかく、今のように「働かないのが一番得」という実情は変えていく必要がありますね。


 住居については、現金ではなく公営住宅をもっと活用すべできでしょう。
 そのためには、既得権のように親子代々、公営住宅に居座っている人たちの問題を自治体が警察と協力して解決すべきなのは言うまでもありません。

 公営住宅だけで間に合わなければ、自治体が手頃な民間住宅を確保し、生活保護者に提供するような制度にすべきです。
 あまりに田舎に引っ込むと働き口の問題があるので、この方式が一番現実的かもしれませんね。

 どうしても今居住しているアパートなどに住み続けたい人は、自治体が上限額を設けて補助すればよいでしょう。
 とにかくむやみに現金を渡さないことが重要です。


 そして、生活保護者には、職業訓練や一定時間のアルバイト就労、ボランティア活動などを義務づけるべきです。
 このアルバイトなどの収入は、生活保護費とは別に自分で使えるようにすれば、生活保護者支援団体も批判する根拠を失います。


 とにかく、生活保護者の引きこもりを防ぐことが、社会復帰を促す最善の方法なのですから。

 それにしても、仮にこういう改革を行ったとしても、なんと手厚い保護のある国でしょうか。
 やはり、日本は優しい国ですね。





posted by 永遠の旅行者 at 16:50 | ソウル | Comment(0) | TrackBack(0) | 海外から見る日本 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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