2015年03月04日
米国務次官発言は韓国への「警告」 朴槿恵訪米前に日韓関係改善促すメッセージ?
 この前も書きましたが、 米国のウェンディ・シャーマン国務次官が日中韓の歴史問題をめぐる対立について「3か国すべてに責任がある」という趣旨の発言をしたことに、韓国政界とメディアは大きな衝撃を受け、「米国が日本の肩を持ったのか」と上を下えの大騒ぎとなりました。


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 一部の保守論客からは「名指しはしていないが、明らかに朴槿恵大統領の『責任』を指摘したものに間違いない」という見方まで出ていました。

 まあ、この見方は大正解ですね。(笑)


 今回の騒ぎは、韓国の「離米従中」に対する米国の苛立ちが限界に達しつつあり、オバマ政権が朴槿恵政権に対して警告を行ったものであるのは確実です。

 覚えている方もいるかもしれませんが、米国のバイデン副大統領が2013年12月に訪韓し、朴大統領に会った席で「米国の反対側にベッティングする(賭ける)のは良くない」と語り、今回のように大騒ぎになったことがあります。
 どう考えても、韓国の過度な中国接近に警告を発したものですが、韓国外交部(外務省に相当)は当時、「(通訳が翻訳した際の)解釈が間違っていた」という趣旨の報道資料を出し、火消しに回りました。


 米国はこれまで水面下では韓国にいろいろ注文を付けてきましたが、公の場ではバイデン発言に続く「2回目の警告」となります。

 シャーマン次官の発言後、米国務省が米国の立場に変化はないことを表明しているものの、次官の発言を否定したわけではありません。
 そもそも、立場や政策が変わっても、一応、相手の韓国は「同盟国」なのですから、米政府が表だって「あなたの国に関する政策が変わった」というわけがありません。
 これは外交の常識でしょう。

 しかも、同盟国の米国から距離を置き、度重なる「忠告」も聞かずに中国接近を加速させてきたのは韓国の方です。
 米国から見れば、「米韓同盟を軸にし、日米韓3カ国協力体制を強固にし、地域の安定を図るという従来の基本政策を韓国政府が変更した」と理解するしかない状況に陥っています。


 オバマ大統領は安倍首相や朴大統領を米国に招待しており、今年の早い時期に日韓首脳が相次ぎ訪米する予定です。
 米政府としては「米韓首脳会談前に、朴大統領に再度、強い警告を出しておくのが賢明だ」と考えたとしてもおかしくはありません。


 もしかしたら、オバマ大統領は米韓首脳会談で、韓国に対中接近を見直すよう「最後通牒」を行うことを検討中で、今回のシャーマン次官発言はそのための布石だったのかもしれませんね。

 シャーマン次官発言の裏には「米国を裏切るつもりがないのなら、訪米前に日本との関係を改善しろ」という意図が隠されているのではないでしょうか。


 韓国の大手メディアの専門記者の中には、シャーマン次官発言を「米国の警告」と受け取った人もいると思われますがが、朴大統領の任期が3年も残っている中で、そんなことを書けば「大統領批判」と受け止められて干されてしまうので、基本的にシャーマン次官の批判に終始し、余り踏み込んではいないですね。


 まあ、韓国では一般国民はもちろん、圧倒的に多くの政治家やメディア関係者は、米国が韓国の中国傾斜にそれほど不快感を持っているとは思っておらず、「米韓関係は史上最高」という朴槿恵政権の宣伝を信じています。
 本当に嘘のような話ですが、「韓国中心」に世界を見ているためか、実際にそうなのです。

 客観的な判断ができる専門家はそれなりにいますが、本当のことを言えばメディアと国民から「日本の肩を持つのか」と抗議が殺到し、袋だたきになりかねないので、言動には慎重を期しているのでしょう。


 先ほども触れたように、韓国政府とメディアが強く反発したことから、米国務省は一応、釈明しました。
 ただ、シャーマン次官は事前に相当な準備をして講演に臨んだようですし、韓国から反発が出るのも想定内でしょうから、計画していた「作戦」通りの展開なのではないでしょうか。


 今回の事態を比較的、冷静に報じていたのはハンギョレ新聞です。
 以下にその報道を引用します。
 米国務省は2日(現地時間)に釈明資料を出しで「私たちは過去の歴史問題に対し、癒しと和解を促す方法で取り組むのが重要であることを強調してきた」とし、「何度も述べたように、村山首相と河野官房長官の謝罪は日本が周辺国との関係を改善する上で重要な一章を記録した」と述べた。
 これは、2013年12月の日本の安倍晋三首相の靖国神社参拝以降、東アジアの過去の歴史問題をめぐる対立が進化したことと関連し、日本の謝罪と反省が必要だという米国政府の公式見解を再確認したものと解釈される。

 国務省はさらに、オバマ大統領が昨年4月の訪韓当時、朴槿恵大統領との共同記者会見で慰安婦問題と関連して述べた発言を再度引用した。
 国務省は「第2次世界大戦当時、性を目的とした日本軍の女性人身売買行為は恐ろしくひどい人権侵害だ」と批判。続いてオバマ大統領が当時「過去を振り返るとともに未来を眺めながら、過去の悲痛な苦しみを解決する方法を見つけることが韓国と日本国民すべての利益につながる。私たちは、日本が治癒を増進し、周辺国との関係改善を進める方向で、この問題を解決することを願う」と述べた、と紹介した。

 米国務省が特定の問題についてこのように長々と釈明するのは珍しいことだ。それほどシャーマン次官の発言に対する韓国内の世論の悪化に負担を感じていることが窺える。

 だが、こうした釈明にもかかわらず、まだ疑問は残る。マリー・ハーフ国務省副報道官はこの日の定例記者会見で「今回の発言は、決して米国の政策の変化を表したものではなく、特定の個人や国家を狙ったものでもない」と述べた。「今回の演説を特定の指導者を狙ったものとした解釈が一部から出たことに、正直、少し驚いた」とし、韓国のマスコミを責める場面もあった。

 しかし、シャーマン次官は先月27日の演説で韓中日3カ国の過去の歴史と領土紛争問題が「挫折感を抱かせる」と不満を吐露した直後に、政治指導者が民族主義の感情を利用していると批判した。
 演説末尾では「再びリーダーシップの問題に戻ることになる」とし、指導者の問題を重ねて強調した。
 これは、あらゆる意味で、今回の演説が北東アジアの指導者たちに照準を合わせたことを示すものである。

 丁世鉉(チョンセヒョン)元統一部長官は3日、SBS放送とのインタビューで「典型的なヒットアンドラン外交」だとし、「本音はシャーマン次官が言って、オバマ大統領はリップサービスをした」と述べた。
(ここまで引用)


 ハンギョレ新聞は野党寄りの新聞で、朴槿恵政権批判が商売ですから、韓国政府の「失敗」については、大統領の顔色をうかがうことなく報じます。

 記事にコメントが引用されている丁世鉉・元統一部長官も金大中、盧武鉉両政権で対北朝鮮政策を主導した人物であり、やはり現政権に批判的なので、シャーマン次官の発言が米政府の「本音」だ、と明言できたのでしょう。


 だからといって、ハンギョレ新聞が「離米従中」に反対しているわけではありません。
 むしろ、米国と距離を置き、北朝鮮との関係改善のために李明博政権時代から続く制裁措置を解除する必要性を訴えています。


 ちなみに、現在の韓国で中国との関係を強めることに反対する人は、保守勢力のごく一部を除き、ほとんどいません。
 もし、次に野党陣営が政権を握っても、外交政策は朴槿恵政権と大きな違いはないとみられ、「離米従中」と「反日」がさらに加速する可能性すらあります。


 話が脱線しましたが、シャーマン次官の発言が安倍首相に対して向けられていることも忘れてはなりません。

 首相が計画している「戦後70年談話」で村山談話と河野談話を引き継ぐよう促したも同然であり、靖国神社参拝の自制を求めているのも確かです。

 首相の対応次第では、米国から日本批判のブーメランが返ってくる恐れがあり、日本政府の慎重な対応が肝要なのは言うまでもありません。


posted by 永遠の旅行者 at 18:29 | ソウル ☀ | Comment(0) | TrackBack(0) | 韓国政治 反日の朴槿恵政権 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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