2015年01月31日
大韓航空オーナー会長「事務長に報復しない」と公判で約束 激怒する世論和らげナッツ姫の長期服役回避狙う?
 大韓航空を傘下に持つ財閥「韓進グループ」のオーナー一家の娘で、同社副社長だった趙顕娥(チョ・ヒョナ)氏(40)が客室乗務員のナッツの出し方が間違っていると激怒、滑走路に移動中の飛行機を引き返させ、客室サービス責任者の事務長を降ろさせた「ナッツ・リターン事件」。

 昨日、航空保安法違反など5つの罪で起訴された趙顕娥被告に対する第2回公判がソウル西部地裁で開かれ、被告の父親で、韓進グループの趙亮鎬(チョ・ヤンホ)会長が証人として出廷しました。


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 聯合ニュースによると、趙会長はこの事務長について、「本人が(今後も)勤務すると言えば、いかなる不利益も与えないということをこの法廷で約束する」と表明。
 また、事務長が受けた被害について「とても胸を痛めており、大韓航空会長として謝罪する」と述べました。

 地裁側が事務長に対する報復の可能性を指摘すると、趙会長は「大韓航空の代表取締役として社員が熱心に勤務できるよう、できるすべての措置を取る」と強調しました。

 また地裁側が「2人の副社長と1人の専務(趙顕娥被告の妹)が他の役職員にひどい対応をした際に、これをやりすぎと考えたことはあるか」と問うと、趙会長は「家庭内で悪い行動を叱ったことはあるが、そのほかにはない」と答えました。

 趙会長は約20分の尋問中、今回の事件の根本的な原因については言及しなかったそうです。


 なかなかおもしろいですね。
 事務長に対する「報復」の可能性まで問いただすとは、韓国の裁判所はなかなかやりますね。

 まあ、憲法の上に「国民情緒法」が存在するといわれる韓国。
 国民が大韓航空とそのオーナー一家に対して激怒していることや、事務長に同情し報復を受けることを心配している心情を知っている裁判所が、「正義の味方」よろしく厳しく追求した、といったところでしょうか。


 会長はあくまで「証人」であり、「被告」ではないのですが、ある意味でこの日の公判は、「被告の罪は重いが、真に罰せられるのは被告の父親」といった雰囲気ですね。


 会長の方も、公判の場で低姿勢に徹し、事務長への「報復」をはっきり否定して見せたのは、裁判長の心証をよくする狙いはもちろん、相当にメディアを意識したものであることは間違いありません。

 事件が韓国社会を揺るがす大問題に発展したため、裁判所の判決も「国民情緒法」の支配から逃れられないのは確実。
 となれば、メディアの報道を通じ、「被告に厳しい処罰を求める世論を少しでも和らげたい」ということではないでしょうか。


 航空保安法違反はかなりの重罰なので、被告側は全面的に争う構えを示していますが、その一方で世論の沈静化を図り、情状酌量で被告の長期服役だけは回避する作戦なのでしょうね。


 まあ、事務長が本当に無事に仕事をできるかは疑問ですが。

 趙顕娥被告の妹である大韓航空専務が昨年12月中旬、自分が代わりに「必ず復讐する」と誓う内容の携帯メールを姉に送っていたことが発覚し、物議を醸しました。
 多くの韓国人は、財閥一家の横暴に激怒しながらも、一家が「事務長にひどい復讐をするだろう」と確信している、といっても過言ではありません。


 事務長は大韓航空側が事件の隠蔽を必死で図る中、テレビのインタビューで、趙顕娥被告から暴言と暴行を受け、機内から降ろされたことを涙ながらに暴露。
 客室担当の常務ら会社の関係者から虚偽の証言を強要されたと主張しました。

 いわばオーナー一家に逆らった「逆臣」であり、「社内でいじめられ、退職に追い込まれる」のは当然として、もしかしたら韓流ドラマに出てくるように、裏でオーナー一家に雇われた暴力団に痛めつけられたり、生涯まともな職に就けないよう執拗に嫌がらせを受ける可能性もある、と考えている韓国人は結構います。


 つい数年前までは、財閥一家は「カネとコネ」に物を言わせ、背任、横領はもちろん、破廉恥な事件を起こしてもせいぜい執行猶予で、実刑は異例なことでした。
 仮に服役しても、年に数回ある大統領の恩赦・特赦ですぐに放免。

 放免が無理でも、「持病が悪化した」とかなんとか理由をつけて、大病院の特別室で何不自由ない生活が出来ます。
 裁判所もそれをダメとはいいません。


 一方で、自分たちに不利な証言をしたり、事件を暴露した者には、徹底的な報復を加えていたとされます。
 まあ、ウワサですが。


 韓流ドラマでよくあるストーリーですが、あれは全くの嘘ではないのです。
 ただ、韓流ドラマと違って、財閥一家にいじめられた者が逆襲するのは不可能ですが。

 「経済民主化」を旗印の1つにした朴槿恵政権の登場で、こうした「慣行」がかなり改善され、左派からは「宣伝用の見せしめ」といわれながらも、財閥の不正には比較的厳しく対処し、一部の財閥オーナーは実刑判決を受けて服役中です。


 「カネ」対「国民情緒法」の闘い。
 裁判の結末は、果たしてどうなるでしょうか?


posted by 永遠の旅行者 at 12:15 | ソウル | Comment(0) | 格差と対立の韓国社会 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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